榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

人に人格があるように、国には国格がある・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2446)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年12月28日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2446)

ヤマガラ(写真1、2)、カワラヒワ(写真3~5)、セグロセキレイ(写真6~9)をカメラに収めました。他の野鳥に襲われたのか、野鳥の羽が散らばっています(写真10)。因みに、本日の歩数は17,343でした。

閑話休題、後藤新平は私が尊敬する政治家の一人です。その国家観・政治観を知りたくて、『国家とは何か』(後藤新平著、楠木賢道編、藤原書店)を手にしました。本書は、後藤が最晩年に著した『道徳国家と政治倫理』を編集したものです。

後藤は、本書で、渾身の力を込めて、国家はどうあるべきか、政治はどうあるべきかを論じています。

国家は道徳を基盤としなければならず、政治は倫理的に許される手段によりなされなければならない、もし倫理的に認められない手段を許容すれば、政治は必ず腐敗し、国家は衰亡・破滅に陥る――と強調しています。「国民に人格があるように、国家にも国格があり、人格同様に国格は評価・批判にたえるものでなければならず、そのため国家は道徳的な目的のために努力する必要があると主張する。すなわち道徳国家が国家の理想像であると考えているのである。また道徳国家の実現に最も重い責任を負うのは政治家であり、政治家の行動は倫理上許容される手段でなければならず、目的のためには手段を選ばないような行動は許されない、と論ずる」。

後藤は、『集義和書』を著した陽明学者・熊沢蕃山に傾倒し、その影響を強く受けました。

誰よりも現代の政治家たちに読ませたい一冊です。