急成長中のIT企業の就職試験の最終選考に残った6人の大学生に起こったこと・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2581)】
東京・文京区の六義園(りくぎえん。写真1~4)の茶店の「抹茶と桜まんじゅう」は美味しゅうございました。急に写真を撮るぞと声をかけると、誰かさんは慌てて、口にしていた饅頭を皿に戻しました。だから、少し欠けています(笑)。六義園から歩いて15分ほどの北区の旧古河庭園(写真5~15)では、さまざまなバラが見頃を迎えています。
閑話休題、『六人の嘘つきな大学生』(浅倉秋成著、KADOKAWA)には、脱帽です。先、先が気になり、一気に読み通してしまいました。
2011年の急成長中のIT企業スピラリンクスの就職試験。5000人の応募者の中から最終選考に残ったのは、慶應大学総合政策学部の九賀蒼太、明治大学の袴田亮、お茶の水女子大学で国際文化を学んでいる矢代つばさ、早稲田大学で社会学を学んでいる嶌衣織、立教大学で経済学を専攻している波多野祥吾、一橋大学の森久保公彦――の大学生6人。
選考方法は、スピラリンクスのカメラ4台が設置された一室に籠もった6人だけで2時間半のグループディスカッションを行い、「6人の中で誰が最も内定に相応しいか」を決めて会社側に報告するというもの。
「(自分以外の5人は)ライバルの一人なのだ。手に入れた内定をすべて辞退して今日の選考に臨んでいる身として、一切の油断は許されない」。
グループディスカッションを開始して30分後、扉付近に比較的大きめの封がされていない封筒が置かれているのに気づきます。その謎の大型封筒の中には、6人それぞれに宛てた封筒が入っていました。そして、何と、それぞれに宛てた封をされた封筒には、同室の人物の過去の悪事を示す写真が入れられていたのです。A宛ての封筒にはBの悪事の写真が、B宛ての封筒にはCの悪事の写真というように。
この仕掛けをした犯人は誰なのか? 内定を勝ち得たのは誰なのか?
その8年後、内定を獲得し、今やスピラリンクスでバリバリと活躍している人物は、当時「犯人」とされた者の妹から「犯人」とされた者が病死したこと、遺品の中に内定者宛てのクリアファイルがあったことを知らされます。クリアファイルの中には、USBメモリと小さい鍵が。USBメモリにはテキストファイルと内定者宛てのZIPファイルが保存されていました。そして、ZIPファイルをダブルクリックするとパスワードを要求する画面が表示されました。「パスワードは、犯人が愛したもの【入力回数制限あり:残り2/3回】」。
内定者は、真犯人はいったい誰だったのか調べ始めます。
その結果、明らかになった真実とは! 誰もが息を呑むことでしょう。