榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

西田幾多郎、北一輝、小林秀雄が考えていたのは、こういうことだったのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2890)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年3月16日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2890)

ヒバリ(写真1~4)、バン(写真5、6)をカメラに収めました。モクレン(シモクレン。写真7~9)、ハクモクレン(写真10~12)、サラサモクレン(モクレンとハクモクレンの交雑種。写真13~15)が咲いています。因みに、本日の歩数は11,243でした。

閑話休題、『11人の考える日本人――吉田松陰から丸山眞男まで』(片山杜秀著、文春新書)では、幕末から現在までの日本人思想家11人が取り上げられているが、目から鱗が落ちたのは、西田幾多郎、北一輝、小林秀雄の3人についての解釈です。

●西田幾多郎
「西田の哲学を一言でいうなら『うまくいっていない人間にも生きる意味はある』」。

●北一輝
「北の唱える『純正社会主義』は、マルクスやエンゲルスが考えているような社会主義をイメージしていません。まず人間は、自分が生き残っていくために他人を支配しようとするケダモノ的精神から出発している、と北は説きます。そこから進化して、さらには神の領域に飛躍していくためには、人間の共同性、社会性を高めるしかないと考えます。共同性、社会性が高まるということは私利私欲を追求しないということ。つまり無私の精神へと進化することが人間として正しい方向であるというのです。・・・排泄しない、セックスしない、無私になる。そういう人間になることが最高の到達点である。こんなことを考えていた北一輝」。

●小林秀雄
「(小林が)繰り返し言っていたこととは何かというと、何でも科学的に説明できると信じる人間が増えると、世の中はダメになるということです」。

本書のおかげで、私の頭の中で曖昧模糊としていた西田、北、小林の思想の輪郭がくっきりとしてきました。読み応えのある一冊です。