榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

湯豆腐やいのちのはてのうすあかり・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3041)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年8月15日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3041)

ツクツクボウシの雄(写真1、2)が鳴いています。スズメバチ・トラップを覗いたら、カナブン2匹が捕らえられていました(写真3、4)。アメリカフヨウ(写真5、6)、モミジアオイ(写真7)、タカサゴユリ(写真8、9)、ハツユキソウ(写真10、11)が咲いています。ホウキギ(ホウキグサ、コキア。写真12)が青々としています。

閑話休題、『ねんてんさんの名句百選』(坪内稔典著、潮新書)は、さすがに、唸らされる俳句が満載です。

これは勉強になると思った句を書き写していったら、28句にもなってしまいました。

●春風や闘志いだきて丘に立つ――高浜虚子
●春めきし窓押上げて少年よ――高浜虚子
●時鳥(ほととぎす)厠(かわや)半ばに出かねたり――夏目漱石
●わが宿は蚊の小さきを馳走かな――松尾芭蕉
●蚊の中へおつ転しておく子かな――小林一茶
●目には青葉山ほととぎす初鰹――山口素堂  何と、季語が3つ!
●万緑の中や吾子の歯生え初むる――中村草田男
●さみだれや大河を前に家二軒――与謝蕪村
●ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき――桂信子
●ふたまわり下の男と枇杷の種――池田澄子
●愛されずして沖遠く泳ぐなり――藤田湘子
●ひやひやと壁をふまへて昼寝かな――松尾芭蕉
●夕端居(はしい)ふるさとの風吹いて来し――大串章
●虫の夜の洋酒が青く減つてゐる――伊丹三樹彦
●ぼけかけし夫婦に茄子(なす)のこむらさき――草間時彦
●皿小鉢洗つて伏せて十三夜――鈴木真砂女
●かきくけこくはではいかでたちつてと――松永貞徳 「『柿を食べないで、どうしてここを発とうか(食べてから発つよ)』という意味を、五十音を使ってクイズ的に表現したのだ」。
●はつ雪を煮て喰(くらい)けり隠居達――小林一茶
●霜やけのかゆきをかくや足袋の穴――寺田寅彦
●湯豆腐やいのちのはてのうすあかり――久保田万太郎
●ちゃんちゃんこアルゼンチンチン共和国――芳野ヒロユキ 「この句など、意味を考えようとしたら何が何やら分からなくなる。意味はどうでもいいのである。五七五の言葉のリズムに、ぱっと反応したらそれでよい」。
●セーターは手洗い男は丸洗い――小西雅子
●おでん酒貧乏ゆすりやめ給へ――倉橋羊村
●埋火(うずみび)や我かくれ家も雪の中――与謝蕪村
●日脚(ひあし)伸ぶわたしが折れて仲直り――山田弘子
●口紅のあるかなきかに雪女――真鍋呉夫
●鯛は美のおこぜは醜の寒さかな――鈴木真砂女
●ひたひたと生きてとぷりと海鼠(なまこ)かな――木村弘一