タイトルどおり『史記』を一気読みできる一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3077)】
明けの明星(金星。写真1)が輝いています。手を近づけると、海老反りになり頭部を振って威嚇するガのフクラスズメの幼虫(写真2、3)、キタテハ(写真4、5)をカメラに収めました。トロロアオイ(ハナオクラ。写真6、7)の葉の上のブチヒゲカメムシ(写真8)、ノシメトンボ(写真9)、コノシメトンボ(写真10)を見つけました。モズの雄(写真11)が高鳴きしています。我が家では、シロバナマンジュシャゲ(写真12、13)が咲いています。因みに、本日の歩数は11,568でした。
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閑話休題、『いっきに読める史記』(島崎晋著、PHP文庫)は、タイトルどおり『史記』を一気読みできる、故事成語がどういう場面で誕生したかが分かる、『史記』に関するQ&Aが充実している――という3つの特徴を備えているので一読に値します。
例えば、Q&Aには、このように興味深いものが含まれています。
●司馬遷とはどのような人物か
「歴史家である以前に、天文学者であり、また統計学者でもあったのである」。
●覇者の役割とは
「春秋時代、周王室の力は名目上のものとなり、実際に天下を取り仕切ったのは大諸侯だった。外敵の脅威に対するため、諸侯の指導者となった者は後世、『覇者』と呼ばれた。『春秋五覇』という呼び方があるが、斉の桓公と晋の文公を除いては諸説あり、秦の穆公、宋の襄公、楚の荘王、呉王の夫差、越王の勾践などがその候補に名を連ねている」。
●始皇帝は誰の子か
「始皇帝の父親について、『史記』には矛盾が見られる。始皇本紀には荘襄王の子とあるのに、呂不韋列伝には、女は身ごもっていることを隠して荘襄王の手に渡されたとあるのだ。これだと父親は呂不韋ということになる」。
●項羽の敗因は何だったのか
「劉邦は負け戦を数えきれないほど経験している。それに対し、項羽には負け戦が少ない。それなのに、なぜ滅びることになったのか。これは劉邦自身が語っているように、人材をいかに活用したかの違いだろう。・・・諫言を聞き入れず、多様な人材を受け入れる度量がない。これが項羽の滅んだ最大の原因ではなかろうか」。
●呂后の残虐さは本当か
「高祖の没後、戚夫人は悲惨な運命に見舞われた。しかし、手足を切断されて、人が生きていられるものだろうか。呂后が戚夫人を迫害したのは事実だろうが、その具体的な措置については疑問が残る。呂后の残虐さをあらわすための誇張である可能性が高い」。
●武帝は方術にはまっていたのか
「武帝本紀を読んだ読者は、違和感をぬぐえないにちがいない。はじめから終わりまで、祭祀に関する記述で埋め尽くされているからだ。・・・遠まわしに、武帝を批判しているという説だ。・・・司馬遷は武帝に二重の怨みを抱いていた。ひとつは父司馬談の怨みである。司馬談は封禅の儀に参加を許されず、それを気に病むあまり健康を害し、死に至った。いわば憤死したわけである。もうひとつは司馬遷自身の怨みである。司馬遷は誣告の罪により宮刑を受けた。去勢され、宦官にされたのである。子孫を残す道を絶たれたわけで、当時の男子にとって、これ以上の屈辱はない。ゆえに司馬遷の筆に多少なりとも怨念がこもっていたことは間違いなかろう」。ここにいう「誣告の罪」とは、武帝の意に反し、李陵を弁護したことが、翻って、武帝の寵妃・李夫人の兄・李広利を非難していると認定されてしまったことを指しています。