「珈琲屋」を舞台に繰り広げられる人間ドラマは、現実世界の煩わしさを忘れさせてくれる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3108)】
【月に3冊以上は本を読む読書好きが集う会 2023年10月21日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3108)
ハロウィーンが近づいてきましたね。
閑話休題、『珈琲屋の人々――宝物を探しに』(池永陽著、双葉社)は、東京の下町の商店街にある喫茶店「珈琲屋」を巡る連作短篇集です。
「カップのなかのコーヒーが残り少なくなったとき、『それにいい店だ。年季が入っていて重厚さがあって、ここに座っているだけで気分が落ちついてくる』。無駄な装飾のない店内を見回しながら、初名が弾んだ口調でいった。珈琲屋は樫材がふんだんに使われていた。重厚さと同時にほっとするような安心感を訪れる客に得てほしいという、(店主の)行介の父親のこだわりだった。『親父の残してくれた、たったひとつの大切な俺の財産です』」。
「珈琲屋」を舞台に繰り広げられる人間ドラマは、暫し、現実世界の煩わしさを忘れさせてくれます。