榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

スペインに黄金時代をもたらした女王、イサベル一世・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3150)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年12月㏠号】 情熱的読書人間のないしょ話(3150)

シロハラ(写真1~5)が盛んに鳴いています。キダチダリア(コウテイダリア。写真6、7)、キダチチョウセンアサガオ(エンジェルズトランペット。写真8)、ツワブキ(写真9)、サフラン(写真10)が咲いています。イチョウ(写真11)が黄葉、ドウダンツツジ(写真12、13)が紅葉しています。因みに、本日の歩数は11,152でした。

閑話休題、『世界史を変えた女性指導者たち――クレオパトラからエカチェリーナ二世まで(上)』(アンヌ・フュルダ編、神田順子・田辺希久子・清水珠代・松尾真奈美訳、原書房)で、とりわけ興味深いのは、「イサベル・ラ・カトリカ(1451~1504年)――女王のなかの女王」です。

「彼女の最大の資質は沈黙、そして観察眼だ。有力貴族を従わせることができない弱い王、そして秘密の妊娠を隠そうと宮廷を抜け出す放埓な王妃、そんな時代を彼女は観察していた。イサベルはこれらすべてを政治的・道徳的教訓として、最大限に活かすことになる、だが当面は自分の考えや野望はおくびにも出さず、沈黙を守る」。

「1474年12月12日夜、セゴビアでエンリケ王が死去すると、イサベルはもちまえの決断力を発揮する。(夫の)フェルナンドの不在をものともせず、その日のうちにセゴビア市民の前で即位の宣誓をおこなう。翌日のエンリケ四世の葬儀を終えると、喪服を脱ぎ捨て、純白の毛皮のマントに宝冠姿で大聖堂に現れた」。

「戦争中、イサベルは危険を顧みず戦地を縦横に駆け回った。1475年から1476年の冬に行われたブルゴスの攻防戦では、作戦の後方支援に徹し、馬で雪道を6日も駆け抜けてこの町の降伏引き渡しにも立ち会った。敵をふくめ、だれもがその勇敢さを賞賛した。多くの人は、か弱い身にこれほどの力が宿るとは想像もできず、神の手が働いたと考えた」。

「1482年以降、イサベルはイベリア半島におけるイスラム勢力最後の砦、グラナダ王国の征服に全身全霊を傾ける。・・・フェルナンドが戦っている間、女王は野戦病院をつくり、貴族・聖職者・都市役人・商人と交渉し、高額にのぼる戦費、とくに近代的大砲をイタリア、フランス、ドイツから輸入するための費用を調達した。女王は宮廷や子供たちを引き連れ、しばしば包囲戦にも参加した。1492年1月2日、イサベルとフェルナンドは(グラナダ最後の王ムハンマド十一世から)グラナダの町の鍵を受け取る」。

「行く手には途方もない難問が待ち受けていて、女王はフェルナンドと共にこれを乗り越えていくことになる。すなわち王の権威をとりもどし、国家を近代化させ、カトリック信仰のもとにスペインを統一し、ヨーロッパ、ひいては世界の列強の座にのぼらせることだ」。

「クリストファー・コロンブスなる人物が、彼女の目を大西洋の大海原へと向かわせることになる。・・・コロンブスが300人のインディオを奴隷としてスペインで売却したことに、女王は憤った。『いったい何の権利で、提督が私の臣下を奴隷にするのか』と。彼女は遺言書の中でもインディオを保護するよう要求している」。

本書のおかげで、スペインに黄金時代をもたらしたイサベル一世という女王がいたことを知ることができました。