本書のおかげで、平安時代の男女の性関係の実態を知ることができた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3212)】
メジロ(写真1)をカメラに収めました。ジンチョウゲ(写真2、3)が蕾を付けています。因みに、本日の歩数は11,525でした。
閑話休題、『平安朝の女と男――貴族と庶民の性と愛』(服藤早苗著、中公新書)のおかげで、平安時代の男女の性関係の実態を知ることができました。
「9世紀まで、かつて呪術的宗教的な意義をもった王と女たちの『共寝』儀礼が、9世紀末にほぼ消滅することをみた。男女の性関係のまことに大きな意義の変容である。ちょうどその時期を境に、社会的な規模で男女の性関係の実態にもきわめて大きな変化があらわれる。8世紀まで、男女の性愛は王権周辺を除き、男女対等だった。男女の合意のもとに性関係がもたれた。女からの性的さそいかけも、男からのプロポーズへの拒否も日常茶飯事だった。女性の意志に反した性関係である強姦もなかった。妻が夫以外の異性と結ぶ性関係も、社会的にはしだいに非難される傾向を帯びながらも、許されていた。男女のゆるやかな性関係を内包した結婚形態である対偶婚だったから、とうぜん密通概念もなかった。ただ、『個』を自覚しての性では、かならすしもなく、刹那的、衝動的に性関係を結び、継続して生涯をともにしようとの強い絆の性愛ではなかったことも事実で、当時が理想的男女関係だった、などと理解しては大間違いである。それが、9世紀末から10世紀にかけて、単婚の成立に伴い男性優位の性愛が開始される。以上の点を詳細に検討した関口裕子氏の大部の著書が刊行されている」。
「生涯にわたる夫婦関係が制度的に成立し、だから、途中で解消する場合には、離婚の作法が必要となる。夫には幾人かの妻や妾、あるいは女房層との一夜限りの性関係、買春も許されていたが、妻の場合、基本的には夫以外の異性との性関係がタブーとなる。それが、単婚であるが、単婚の成立の結果、強姦・密通・買売春など、現在まで続く不平等な性愛が開始されるのである」。