君は、疾走する仏像を見たことがあるか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3226)】
シメ(写真1~4)、ハクセキレイ(写真5)、ツグミ(写真6)、ヒヨドリ(写真7)、キジバト(写真8)をカメラに収めました。ニシキマンサク(写真9)、アカバナマンサク(写真10、11)が咲き始めました。サンシュユ(写真12)の蕾が綻んでいます。。因みに、本日の歩数は11,194でした。
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閑話休題、『高校生のための文章読本』(梅田卓夫・清水良典・服部左右一・松川由博編、ちくま学芸文庫)の一番重要な教えは、「自分にしか書けないことを、だれが読んでもわかるように書く」というシンプルなものです。
そのためには、多くの優れた文章に触れることに尽きるという考えのもと、古今東西の70の例文が収載されています。
いずれも味わい深い文章だが、例えば、写真家の土門拳の「走る仏像」は、こう綴られています。「仏像は静止している。伽藍は静止している。もちろん境内の風景は静止している。と、だれしも思うだろう。・・・鳳凰堂に別れを告げようとして振り返ってみたら、茜雲を背にたそがれている鳳凰堂は、静止しているどころか、目くるめく早さで走っているのに気がついた。しばし呆然としたわたしは、思わず『カメラ!』とどなった。・・・シャッターを切れる瞬間は、たった一度しかないのであった。それにしても、茜雲の平等院以後、わたしには、仏像も建築も風景も、疾風のような早さで走るものになってしまったのには閉口である」。
たった2ページの短文なのに、写真の本質、撮影の神髄が見事に語られているではありませんか。
これまで、さまざまな文章の達人の手になる文章読本を読んできたが、地方の高校の国語教師4人が力を合わせて作り上げた本書は、実践的という点で、それらに勝るとも劣らないものに仕上がっています。高校生はもちろん、大人にとっても、必読の一冊です。