「納豆発展5段階説」から納豆の起源地に迫った、納豆好きのための本・・・【情熱的読書人間のないしょ話(59)】
先週はA社の新入社員研修、今週はB社の新入社員研修を担当して、希望に瞳をキラキラさせている若者たちから新鮮なエネルギーをもらいました。因みに、本日の歩数は14,248でした。
閑話休題、私たち夫婦は納豆が大好きで、毎朝、女房が何回もネギ、芥子、醤油味の垂れと掻き混ぜた納豆を食しています。こういう私にとって、『納豆の起源』(横山智著、NHKブックス)に手が伸びるのは当然でしょう。
納豆の起源を突き止めるべく、15年に亘り、ラオス、タイ、ミャンマー、インド、ネパールで納豆調査を続けてきた著者は、遂に「納豆発展段階説」と納豆起源地に辿り着きます。
「私は、これまで、どの民族がどのように納豆をつくっているのかを、特に菌の供給源となる植物利用を中心に聞き取ったり、また実際にその植物を採取したりしながらフィールド調査を実施してきた。植物を重視したのは、茹でた大豆に菌を付けるためには、植物が必要だからである。中尾佐助も納豆の特徴について、『ナットウはいわば大豆と植物とそれにつく菌の3種の、植物複合文化となっている』と述べ、植物の重要性を訴えている」。
納豆発展の第1段階から第5段階までが、納豆のように粘り強い調査・研究によって裏付けられています。
「よって、発展段階論をベースに考えると、納豆の起源地は一元論ではなく、おのずから多元論になる。発展段階論は、茹でた大豆を放置しておくと、納豆になるという極めて高い可能性をベースに考えたものである。それはどこか一カ所で起こるものではなく、どこでも簡単に起こりうる現象である」。
フィールド調査、植物利用から導き出した納豆の発展段階論、そして納豆の形状などから導き出した東南アジアとヒマラヤの納豆の起源地は、「東南アジア・タイ系」「東南アジア・カチン系」「ヒマラヤ・ネパール系」「ヒマラヤ・チベット系」の4地域だと結論されています。
明日の朝食からは、この納豆は4地域のいずれからやって来たのかと遥かな過去に思いを馳せながら、納豆を味わうことになりそうです。