すっごくカッコわるい、パパのあたらしいカノジョと、小生意気な幼い娘との微妙な関係・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3356)】
アジサイの仲間のアナベル(写真1、2)が咲いています。マムシグサ(写真3)が実を付けています。
閑話休題、『パパのカノジョは』(ジャニス・レヴィ作、クリス・モンロー絵、もん訳、岩崎書店)は、上質な短篇小説を読んだような気分にさせられる素敵な絵本です。
「パパのあたらしいカノジョは かわってる。すっごくカッコわるいんだ」と始まります。
「パパはカノジョを スイートポテトちゃん、なんて よんでるけど、あたしはなんとも よばないもんね」。
「ご近所さんには スペイン語で、パパには あかちゃんことばで、はちうえには 日本語ではなしかける。あたしには ぜ~んぶごちゃまぜ」。
「スイートポテトは かわってる。すっごくカッコわるいんだ。なのに、いままでのカノジョたちより いちばん 長つづきしてる・・・」。
「パパのカノジョは あたしのはなしを テレビをけしてきいてくれる。ひみつはひみつにしといてくれる。わたしがうまく 話せないときでも、口をはさんだりしない」。
「あたしのものを ガラクタっていわないし、かってにさわらない。じぶんでかたづけるなら、ちらかしたっていいんだよね」。
「パパのカノジョは あたしのきげんがわるいとき むりやり わらわそうとしたり、質問ぜめにしたりしない。そう、ただ しずかにしといてくれる」。
「ケンカしてかえったら、あたしのみかたをしてくれる。あたまがいたいとき、さすってもらうと なおっちゃう。そして、泣いてもいいんだよ、って いう」。
「パパのカノジョの ほんとのなまえはエリザベス。いまんとこ、ちょっといいセンいってるかもね」と結ばれています。
すっごくカッコわるい、パパのあたらしいカノジョと、小生意気な幼い娘・あたしとの微妙な関係が、そして、その変わりゆくさまが、一度見たら忘れられない個性的な絵と、あたしの仮借ない独り言で明らかにされていきます。
こういう絵本には癒やされるなあ。