ニューヨークでも仕事と私生活の両立は難しい?・・・【情熱的読書人間のないしょ話(178)】
土手を散策すると、トノサマバッタが行く先々で飛び立ちます。トノサマバッタには緑色型と褐色型があります。交尾中のカップル、交尾を試みるも失敗というケースなど、トノサマバッタはこの時期、大忙しです。トノサマバッタより少し小型の褐色のクルマバッタ、大分小型のハネナガイナゴも見つけました。
閑話休題、ファッションには全く関心のない私ですが、映画『プラダを着た悪魔』(DVD『プラダを着た悪魔』<デイビッド・フランケル監督、アン・ハサウェイ、メリル・ストリープ出演、20世紀フォックス・ホーム・エンターテインメント・ジャパン>)は、面白いだけでなく、いろいろと勉強になりました。
ジャーナリスト志望の若い女性・アンディは、ファッションに興味がないのに、女性憧れの一流ファッション誌の辣腕編集長・ミランダの秘書として働くことになります。この女性編集長が激烈な仕事人間で、当然のことながら部下たちに対する要求も厳しいものがあります。編集長に鍛えられ、アンディも仕事人間に変身していき、同時にファッション・センスも磨かれていきます。
強く印象に残ったのは3つのことです。第1は、ニューヨークで頭角を現すには、自ら決断した上で、脇目も振らず仕事に打ち込む必要があるということ。終盤で、ミランダがアンディに語りかける言葉がこのことを物語っています。「あなたは私に似てるわ。人が何を求め必要としているかを超え、自分のために決断できる。先へ進もうと決めた。この世界では不可欠な決断よ」。
第2は、ニューヨークでさえ、キャリアを積む上で女性は男性より厳しい環境に置かれているということ。このことは、ある男性とアンディのやり取りに表れています。「彼女(ミランダ)が嫌いだろ? 認めろよ、悪名高きサディストだ。悪魔のような女さ」。「彼女は厳しいわ。でも、男だったら『有能な人物だ』と誰もが褒めるはず」。
第3は、ニューヨークでも仕事と私生活のバランスをとるのは難しいということ。仕事人間に変わっていくアンディと恋人の間に危機が訪れ、ミランダも夫から離婚を迫られてしまいます。ミランダの部下の男性幹部が、ミランダの信頼を得たアンディに言う台詞がこのことを象徴しています。「全私生活が崩壊するよ。昇進の時期だ」。
自分もニューヨークで働いているかのような気分にさせられてしまう映画です。