あだ名は「魔王」、身長188cm、スニーカーのサイズ28cmの姉が、突然、出戻ってきた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3496)】
【読書の森 2024年11月4日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3496)
撮影助手(女房)が、写真でなく、キセキレイの実物を見たいと言うので、金網で囲まれた調整池に連れていきました。双眼鏡を覗く私より早く、撮影助手がかなり遠くのキセキレイを見つけました。恐るべし、彼女の裸眼視力1.2! 幸運にも、1時間50分間、陽光を浴びながらキセキレイをじっくりと観察することができました。撮影助手もご満悦。
閑話休題、短篇集『スモールワールズ』(一穂ミチ著、講談社文庫)に収められている『魔王の帰還』には、途轍もない女性が登場します。
鉄二の姉は、身長188cm、スニーカーのサイズ28cm、総合格闘技(地下プロレスだったかも)からスカウトされたことのある、岡山弁丸出しの27歳。名前は真央だが、あだ名は「魔王」。
その魔王がトラックドライバーを止め、突然、離婚すると出戻ってきたのです。
魔王のおかげで、高校2年だが、教師や同級生たちから遠巻きにされている鉄二は、なぜかクラスの中で浮いていて仲間がいない菜々子と言葉を交わす機会に恵まれます。
読み進めていくうちに、鉄二が教師や同級生たちから遠巻きにされている理由、菜々子がクラスの中で浮いている理由、そして、魔王が出戻ってきた理由が明らかになってきます。
読み終わった瞬間、本当に、久しぶりに、涙が滲んでしまいました。
これぞ、読書の醍醐味と言うべきでしょう。魔王に出会えた幸運に感謝!