パラドックスを研究すると論理的思考力が高まるというのは本当か・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3515)】
ケヤキ(写真1)、カツラ(写真2、3)、ユリノキ(写真4、5)、ラクウショウ(写真6、7)が黄葉、モミジバフウ(写真8、9)、ハナミズキ(写真10)、ニシキギ(写真11、12)、コマユミ(写真13、14)が紅葉しています。因みに、本日の歩数は11,540でした。
閑話休題、『思考の迷宮 パラドックス――論理的思考力が高まる不思議な問題60選』(ニュートン プレス・Newton別冊)では、合理性のパラドックス、社会性のパラドックス、曖昧性のパラドックス、自己言及のパラドックス、確率のパラドックス、無限のパラドックス、自然界のパラドックスと、さまざまなパラドックスが取り上げられています。
個人的に、とりわけ興味深いのは、●一人を殺して二人を助けるのは正しい?(功利主義のジレンマ)、●引き際はいつか? チキン・ゲームで度胸試し(チキン・ゲーム)、●理系、文系ともにA校の平均点が上回っているのに、学校全体の平均点ではB校のほうが上(シンプソンのパラドックス)、●過去へのタイムトラベルがもたらす矛盾(タイムパラドックス)、●細胞の異常で発症するがんは、大型で長寿命なほどかかりやすい?(ピートのパラドックス)――の5つです。
●ベンサムの功利主義に反対すると、多数決をとる民主主義や、利益を追求する資本主義にも反対することになるため、難しい問題として、現在も議論が続いているとのこと。
●チキン・ゲームなどの問題を研究するゲーム理論は、基本的に合理的な答えを追求するものだが、実は、非常に奇妙なことに、チキン・ゲームでは、合理的でない答えのほうが優位に立つと考えられているとのこと。
●シンプソンのパラドックスは、集団の一部分が持つ性質(文理それぞれの平均点)が、集団全体(学校全体の平均点)にも適用できるだろうと直感的に思ってしまうことによって起きると注意を促しています。シンプソンのパラドックスは疑似パラドックスだからです。
●物理学を含む全ての科学の大前提に因果律というものがある。因果律とは、あらゆる現象には原因があるというもので、その原因は結果よりも時間的に先立たなければならないと見做されている。過去へ戻ることができるとすると、結果(未来)が原因(過去)に影響を及ぼすことができることになり、因果律が崩壊しかねない。そのため、多くの科学者は過去へのタイムトラベルの可能性に否定的な見方を示しているとのこと。
●生物の細胞は、ゲノムの変異を修復し、がん化を防ぐ機構を持っている。進化の過程でいろいろな修復機構を獲得できた生物は、大型化してもがんの発症を抑制することができ、寿命も長くなったと推測されているとのこと。
パラドックスに次ぐパラドックスに疑似パラドックスまで交じり、論理的思考力が高まるどころか、頭の中が混乱してきました(涙)。