榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

『源氏物語』は、何がそんなにやばいのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3504)】

【読書の森 2024年11月12日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3504)

こんな季節にカワヅザクラ(写真1)が咲いているわよ、と指差す撮影助手(女房)。キダチチョウセンアサガオ(別名:エンジェルズトランペット。写真2~5)が蕾と花を付けています。シオン(写真6、7)が咲いています。トキワサンザシ(写真8)、タチバナモドキ(写真9)、ウメモドキ(写真10)が実を付けています。ウベ(写真11)の実の写真を撮ろうとしたら、その家の女主が、私のように皺くちゃですけど差し上げますよ、ともぎってくれました。我が家の庭師(女房)が種を蒔いた覚えがないというのに、ハツユキソウ(写真13)が花を咲かせています。因みに、本日の歩数は11,455でした。

閑話休題、『やばい源氏物語』(大塚ひかり著、ポプラ新書)で、とりわけ興味深いのは、●ブスがやばい、●舞台がやばい、●嫉妬がやばい、●リアリティがやばい、●恋愛観がやばい――の5つです。

●ブスがやばい
『源氏物語』はブスだらけ、主人公の妻や恋人に3人――末摘花、空蝉、花散里――もブスがいるというのです。

●舞台がやばい
宇治十帖の舞台は全部が墓域、延喜式で墓場と定められた空間で物語が繰り広げられているというのです。

●嫉妬がやばい
『源氏物語』の一大テーマは嫉妬だというのです。「さまざまな嫉妬の形だけでなく、嫉妬することすらゆるされない弱い立場の女にも脚光を当てたのは『源氏物語』の功績でしょう」。

●リアリティがやばい
『源氏物語』の身体描写は、それ以前の物語はもちろん、それ以降の文学と比べても、突出して詳細で、リアリティに満ちているというのです。

●恋愛観がやばい
『源氏物語』はレイプだらけだというのです。被害者の苦悩が徹底的に描かれているのは、大貴族のやりたい放題の実態を告発したのだろうと推考しています。

これ以外にも、印象に残った指摘が2つあります。

●紫式部は、物の怪をよく登場させたが、物の怪とは人の心の生んだ幻影だと考えていた。

●『源氏物語』の先輩の『うつほ物語』にしても『落窪物語』にしても『今昔物語』にしても、不倫の恋は描かれていない。『源氏物語』だけがなぜこうも不倫だらけなのか、研究の余地がある。