榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

満州国の誕生から崩壊までの全体像を俯瞰できる一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3528)】

【読書の森 2024年12月3日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3528)

東京・文京の小石川後楽園で紅葉を堪能しました。カワセミの雄(写真1~5)、ハクセキレイ(写真6)、オオバン(写真7)、コサギとマガモの雄(写真8)、アオサギ(写真9~11)、コイ(写真12)をカメラに収めました。

閑話休題、13年余りで消え去った日本の傀儡国家・満州国について断片的な知識は有していたが、今回手にした『写真が語る満州国』(太平洋戦争研究会著、ちくま新書)のおかげで、その誕生から崩壊までの全体像を理解することができました。

豊富な写真が理解を深めてくれました。

例えば――
●児玉源太郎の要請で後藤新平が初代満鉄総裁に就任した。

●満鉄の収益激減時に、板垣征四郎と石原莞爾が関東軍に着任した。

●1934年3月1日、溥儀が念願の満州国皇帝となった。皇后の婉容は長年の習慣でこの頃すでにアヘンに冒されていた。

●満州建国当時、新京の人口は15万人だったが、5カ年計画が完了する1937年には35万人に増加していた。

●1937年、東条英機が関東軍参謀長に就任し、満州国を牛耳る。

●1937年に設立された国策会社・満映の中国人女優としてデビューした李香蘭(実は日本人・山口淑子)は絶大な人気を博した。

●1945年の日本の敗戦により、避難民たちはソ連軍兵士の凌辱、暴民化した中国人の掠奪に遭った。