私たちの身体の全ての細胞が微小発電所なのだ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3544)】
メジロ(写真1、2)、カワラヒワ(写真3、4)、ヒヨドリ(写真5)をカメラに収めました。ストレプトカルプス・サクソルム(写真6)、デンドロビウム・フォルミディブル(写真7)が咲いています。
閑話休題、『私たちは電気でできている――200年にわたる生体電気の研究の歴史と未来の展望』(サリー・エイディ著、飯嶋貴子訳、青土社)には、思いがけないことが書かれています。
その第1――。人間の身体は「生体電気」で動いている。その電流はカリウム、ナトリウム、カルシウムといった、ほとんどがプラスに荷電したイオンの働きによって生成される。これにより、すべての信号が脳の内部を通り、神経系を介して脳と体内のすべての器官との間を行き来することで、知覚、運動、認知が可能となる。それは私たちが考えたり話したり歩いたりする能力や、転ぶとなぜ膝が痛むのか、擦りむいた皮膚はなせ治るのかということの基本をなす。グミを酸っぱいと感じるのも、その味を洗い流すためコップ一杯の水を手に取るのも、そもそも喉が渇いていたことを知るのも、こうした理由からなのである。
その第2――。人間の身体の発電所は私たち自身だ。体内にある40兆個の細胞の一つひとつが、それ自身の小さな電圧を持つ、それ自身の小さな電池なのだ。
その第3――。近年、科学者たちは、生体電気の医療への応用に目を向けている。電気は、骨や皮膚、神経や筋肉など、私たちの身体にある全ての細胞を流れている。脳が身体の各部分に信号を送ることができるのも、私たちが子宮の中で決まった姿形に成長するのも、けがをしたときに自己治癒力を発揮できるのも、全てこのおかげなのだ。生体電気に何らかの異常が起きると、がんを始めとするさまざまな病気になる可能性がある。従って、この生体電気を制御したり、修正したりすることができれば、私たちの健康は今よりも遥かに改善されるだろう。さらに、四肢麻痺の患者のための脳インプラントや骨髄再生、身体の一部を失った人のための幹細胞による身体組織の修復、パーキンソン病に有効なDBS(脳深部刺激療法)、がん治療や不妊治療、胚発生、イオンチャネル薬やウェアラブルデバイス、アンチエイジングにいたるまで、医療分野に応用できる生体電気の可能性は計り知れない。
しかし、こうした技術が、さまざまな病気や障害を治癒し、克服するという医療目的を超え、人間の能力をさらに高めるエンハンスメントの目的で一般的に使用されるようになったらどうなるだろうか――と、その問題点にも言及しています。