私の胸を刺し貫いた「クレバスに消えた女性隊員」という散文詩・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3553)】
今日ほど、自分の撮影技術の未熟さが歯痒かったことはありません。滅多に出会えないケアシノスリと思われる個体が15m先の枝に止まっているのに、撮影に失敗してしまったからです(涙)。その飛び去っていく姿しか撮れませんでした(写真1)。ヒヨドリ(写真2)、ツグミ(写真3、4)、セグロセキレイ(写真5)、ジョウビタキの雄(写真6)、ルリビタキの雌(写真7)をカメラに収めました。ガマズミ(写真8)、ヤブサンザシ(写真9)が実を付けています。因みに、本日の歩数は11,988でした。
閑話休題、『一冊で読む日本の現代詩200』(西原大輔編著、笠間書院)には、1945年から1989年までに活躍を始めた詩人58人の200作品が収録されています。
私の胸を刺し貫いたのは、秋谷(あきや)豊の「クレバスに消えた女性隊員」という散文詩です。
「京都山岳会登山隊の白水(しろうず)ミツ子隊員が、第一キャンプからベースキャンプへ下山中、ボゴダ氷河のヒドン・クレバスに転落、死亡したのは、一九八一年六月十日のことであった」と始まります。
救出困難な鋭角のクレバスの20m深くで身動きができない彼女を救助しようと下降を試みる宮川隊員。「何度も『しっかりしろ』と大声で彼女に呼びかけながらやっている時に、『宮川さぁーん、私ここで死ぬからぁー』『宮川さぁーん、奥さんも子供もいるからー、あぶないからぁー、もういいよぉー』という声。かなり弱った声だったが、叫ぶような声だった。彼女自身でもう駄目と判断してのことだろう」。
「白水さんは二十九歳、独身だった」と結ばれています。
暗黒の氷の割れ目に挟まれ、仲間の身を案じて救助を断り、死を迎えた彼女のことを思うと、胸が締め付けられます。
編者が、「遺体は1995年8月に発見された」と付記しています。