榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

長寿者たちよ、いざという時には介護保険があるから大丈夫と思うのは大甘だ!・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3560)】

【読書の森 2025年1月3日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3560)

ロウバイ(写真1、2)、ソシンロウバイ(写真3、4)が咲いています。ウスタビガの繭(写真5)をカメラに収めました。

閑話休題、長寿者たちよ、いざという時には介護保険があるから大丈夫と思うのは大甘だ! 『長寿期リスク――「元気高齢者」の未来』(春日キスヨ著、光文社新書)は、そう警鐘を鳴らしています。

著者の言いたいことを乱暴にまとめると、こういうことになるでしょう。

●介護は「予防」できるものではない。どんなに健康で生きがいのある生活を送っている長寿者であっても、いつかは病や老衰により、「要介護状態になりうる」のである。あなたの健康寿命が延びたとしても、加齢による老い衰えが後ろ倒しになるだけで、最後は何らかの支えが必要になる。人は加齢とともに、心身ともに衰える、これは何人(なんびと)たりとも避けられぬ事実である。

●介護保険制度が定着し、在宅介護政策が推進される現在、病院から退院した後の生活は、家族がいなかったり、もしくは家族に担う力がなければ、食事や入浴、それに病院受診時の付き添いなど、「生活支援」の介護サービス(介護保険では「生活援助」と呼ばれている)を受けるか、民間サービス業者にしてもらう形になっている。

●「生活支援」を受けるには、自分にどんな支援が必要かアセスメント(評価)し、要介護・要支援認定申請をし、介護サービスにつなぎ、民間サービスなどが利用できるようにつないでくれる「キーパーソン」の確保が必要となる。あなたの制度の情報を知り制度につながる力、人との交渉力が弱っている場合、あなたの代わりにそれを担ってくれる人が必要になるのだ。ということは、あなたの認知能力が衰える前にキーパーソンを予め決めておかねばならないのである。

健康寿命を延ばせばいいと単純に考えてきた私は、大甘だったことを思い知らされました。