榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

紀貫之と本居宣長は話ができるか?・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3659)】

【読書の森 2025年4月10日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3659)

ベニバナトキワマンサク(写真1、2)、レンギョウ(写真3、4)、ジャーマンアイリス(写真5)、ツルニチニチソウ(写真6)、ホトケノザ(写真7、8)、シレネ・カロリニアナ(写真9)が咲いています。我が家の庭では、キズイセン(写真10)、チューリップ(写真11、12)、芳香を漂わせるフリージア(写真13)、フクロナデシコ(写真14)、ムスカリ(写真15)が咲いています。

閑話休題、『図解で学ぶ めくるめく日本語史の世界』(今野真二著、淡交社)で、とりわけ興味深いのは、●平安時代の言葉と平仮名、●紀貫之と本居宣長は話ができるか? ●近代的辞書『言海』――の3つです。

●平安時代の言葉と平仮名
漢字は表語文字・表音文字で、仮名は表音文字です。表音文字は、日本語の発音に従って、助詞・助動詞など、そもそも中国にはなく、漢字を文字化しにくい語も文字化することができます。平安時代に、仮名を使って日本語をより具体的に文字化することができるようになりました。その見事な成果が『源氏物語』と言えるでしょう。

●紀貫之と本居宣長は話ができるか?
紀貫之は古代語の人で、本居宣長は近代語の人なので、900年ほど生きた時代が隔たっている二人が直接話すのは意外と難しそうです。二人が話をするときは、古代語と近代語の過渡期に生きた鴨長明に「通訳」してもらうといいかもしれません。

●近代的辞書『言海』
明示24(1891)年に完成した『言海』は、よく吟味工夫された、日本で最初の近代的国語辞書です。編纂した大槻文彦は、英語だけでなく、蘭学、漢学も修めていました。『言海』は、夏目漱石、北原白秋らにも愛用されました。