榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

アフリカで人類とチンパンジーが共通の祖先から分かれた時、人類の肌は白かった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3712)】

【読書の森 2025年5月26日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3712)

コジャノメ(写真1、2)をカメラに収めました。ヒメタニシ(写真3、4)を採っているベトナム人の青年たちに尋ねたところ、食用とのこと。イヌコリヤナギの園芸品種・ハクロニシキ(写真5、6)の葉が目を惹きます。カシワバアジサイ(写真7、8)、サツキ(写真9、10)、ホタルブクロ(写真11~14)、ヤグルマギク(写真15、16)が咲いています。

閑話休題、『人類の祖先に会いに行く――15人のヒトが伝える進化の物語』(グイド・バルブイアーニ著、栗原俊秀訳、河出書房新社)には、驚くべきことが書かれています。

●330万年前のルーシー(アウストラロピテクス・アファレンシス)
ルーシーは、骨に認められる17カ所のひびから、高所から落下して地面に叩きつけられて死んだと考えられている。二足歩行に適した足を有していたにも拘わらず、一日のかなりの時間、樹上で過ごしていたと思われる。樹上生活から直立二足歩行への移行は、気が遠くなるほどの長い時間をかけて、段階的に進んだのであろう。

●35年前のシュタインハイム(ホモ・ハイデルベルゲンシス)
ホモ・ハイデルベルゲンシスは、サピエンスとネアンデルタール人の祖先の候補としては理想的な存在であるように見える。のみならず、デニソワ人の祖先である可能性もある。

●15万年前のアルタムーラ(ホモ・ネアンデルターレンシス)
著者は、スヴァンテ・ペーボのネアンデルタール人とサピエンスの「交雑」仮説に疑問を呈し、ネアンデルタール人とサピエンスの「祖先の共有」仮説を主張している。また、ネアンデルタール人の絶滅については、前頭前皮質におけるサピエンスとのニューロン量の差、武器の使用を巡るサピエンスとの技術の差、生きるために必要なエネルギー(カロリー)がサピエンスより多かったこと、気候変動による食料危機に肉食中心のネアンデルタール人は対応できなかったこと、サピエンスよりも小集団のためDNAの多様性が失われたこと――などの複合原因が挙げられている。

●1万年前のチェダーマン(ホモ・サピエンス)
今から600万年前のアフリカで、人類とチンパンジーが共通の祖先から分かれた時、人類の肌は白かった。進化の過程で人類は紫外線を吸収する黒い毛を失ったため、その代替策として、人類の皮膚は少しずつ黒くなっていった。肌の黒いチェダーマンが死んでから数千年が経過したころ、大規模な移住によって、肌の色を白くするDNAの変異がヨーロッパにもたらされた。

説得力十分な、読み応えのある一冊です。