血塗られた死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体・・・ ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3717)】
【読書の森 2025年5月31日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3717)
我が家の庭では、アジサイ(写真3、4)、ガクアジサイ(写真5~7)が咲いています。
閑話休題、『猛き箱舟』(船戸与一著、集英社、上・下巻)は、血塗られた死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体・・・で埋め尽くされています。
アフリカ・西サハラの紛争地帯で非合法活動に従事する「おれ」は、敵に囲まれた時、「灰色熊(グリズリー)」と恐れられる日本人指揮官から囮として使い棄てにされてしまいます。その上、愛する女を灰色熊の命を受けた配下によって惨たらしく殺されてしまいます。
「おれ」の灰色熊に対する凄まじい復讐の物語を読み終えて、感じたことが3つあります。
第1は、血腥さが私の体にも染み付いてしまったという錯覚に囚われたこと。
第2は、著者の船戸与一は、なぜ、こういう作品を書かねばならなかったのだろうと思いを巡らせたこと。
第3は、自分の愛する女性が惨殺されたとき、私は「おれ」のように敢然と復讐に立ち上がれるだろうかと考え込んでしまったこと。
冒険小説は私の好みの分野ではないが、これは読まずに済ますわけにはいかない作品です。