榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

植物の世界も結構面白いぞ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(17)】

【恋する♥読書部 2014年6月16日号】 情熱的読書人間のないしょ話(17)

トッキョキョカキョクとホトトギスが頻りに鳴くので、探しにいったところ、我が家から150mほどの森の中で鳴いていることが判明しました。その辺りでは、ホトトギスが託卵するウグイスも盛んに鳴いていました。木々が鬱蒼としているので、持参した双眼鏡もカメラも役に立たず、残念。

閑話休題、生物を大きく動物と植物に分けた場合、私は動物への関心や知識が圧倒的で、植物には滅法弱い。知らぬ植物に出会ったときは、庭いじりが好きな女房に教えたもらうことにしています。

そんな私であっても、『森のさんぽ図鑑』(長谷川哲雄著、築地書館)は十分楽しめました。早春から夏の終わりまで、231種の樹木の変化を美しい植物画で表現した大人のための図鑑です。身近な木々の意外な魅力を新たに発見できるので、散歩の楽しみが倍加することでしょう。

その上、植物に絡む過去の出来事が懐かしく思い出されます。幼い頃、父に連れられていった知人宅の広い庭にはヤマブキが咲き乱れていました。父たちが席を外し、広い座敷に残された僕(当時は、「僕」と言っていました)は、我慢し切れなくなって、床の間の大きな壷の中にオシッコをしてしまったのです。当然、父から叱られましたが、この事件は「誠の武勇伝」として、我が家で長く語り継がれました(笑)。

我が家の庭では、ジンチョウゲ、クチナシ、キンモクセイが、季節毎にいい香りを漂わせてくれます。ナツツバキ(シャラ)は次から次へと何百もの花を付けて季節を演出してくれます。ひっそりと咲くツユクサやホトトギス(ユリ科の植物)のかわいらしさも見逃せません。そう言えば、高原の雰囲気を味わわせてくれたレンゲツツジが数年で枯れてしまったこともありました。

著者は、動物や植物の観察記録を付けることを勧めています。「是非みなさんには、記録を残すことをおすすめする。観察した年月日と場所と、具体的な事項を書き留めておくだけでよい。それがあるのとないのとでは、大違いなのである」。私の場合は、ノートに自然観察記録を付け始めて15年になります。