渋ガキをアルコールに一瞬漬けると甘ガキになるって、本当?・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2038)】
細長いから渋ガキだよ、と女房に講釈を垂れたばかりなのに、帰宅して『カキ』を読んだら、「フデガキ(筆柿)=不完全甘ガキ」(写真1)と記されているではありませんか。面目丸潰れです(汗)。ウンシュウミカン(写真2)、アマナツ(写真3、4)、ザクロ(写真5)が実を付けています。ハヤトウリ(写真6~8)が花と実を付けています。黒板アートに見惚れてしまいました。我が家の庭では、遅蒔きながら白いキク(写真12)が咲き始め、ナツツバキ(写真13)が紅葉しています。因みに、本日の歩数は11,698でした。
女房も私も、固くて歯応えのあるジロウガキ(次郎柿)が大好きです。そこで、『カキ』(三輪正幸著、NHK出版・NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビ)を手にしました。
身近な果実なのに、カキについて何も知らなかったことを思い知らされました。
●カキの品種は1000以上あり、完全甘ガキ、不完全甘ガキ、不完全渋ガキ。完全渋ガキの4つに分類できること。
●甘ガキは丸く、細長いのは渋ガキと思い込んでいたが、そうとは限らないこと。
●富有、次郎などの品種は完全甘ガキ、禅寺丸、筆柿などは不完全甘ガキ、平核無、刀根早生などは不完全渋ガキ、市田柿、横野などは完全渋ガキであること。
●次郎は愛知県の特産品であること。
●渋ガキをアルコールに一瞬漬けると甘ガキになること。
●渋が抜ける仕組みが、図入りで説明されていること。「カキの渋みの正体はタンニンというポリフェノールの一種です。タンニンには可溶性と不溶性があり、可溶性は唾液に溶けて舌が渋みを感じますが、不溶性は感じません。幼果や未熟果は、甘ガキ、渋ガキ問わず可溶性の状態でタンニンを蓄積するので渋みがあります。渋ガキは、成熟が進んでもタンニンの状態は変化せず収穫果は渋いままです。そこで、渋ガキをアルコールにつけると、へたから吸収されたアルコールが酵素の働きでアセトアルデヒドに分解され、これがタンニンの不溶化に作用し渋が抜けます。他方、炭酸ガス脱渋や温湯脱渋は無酸素呼吸によってアルコールが合成され、渋が抜けます。なお、甘ガキのうち不完全甘ガキについては、成熟期にタネから発生するアセトアルデヒドが作用して渋が抜けます。一方、完全甘ガキは脱渋にアセトアルデヒドは無関係で、幼果の段階でタンニン蓄積が停止し、果実肥大でタンニン濃度が薄まり渋みを感じなくなるといわれています(詳細は未解明)」。末尾の「詳細は未解明」という付記に、著者の誠実な姿勢が感じ取れます。
本書は、実際にカキを栽培しようという人たちのために書かれているが、私のように専ら食べることにのみ興味がある者にも、為になる一冊です。