榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

下山事件の恐ろしい真相が遂に明らかに・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3750)】

【読書の森 2025年6月30日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3750)

不鮮明だがサシバの雛(写真1、2)、ツミの雌(写真3~6)、不鮮明だが、その雛たち(写真7~9)をカメラに収めました。ハス田でハス(写真10~14)、疎林でオオバノトンボソウ(写真15、16。池上均さんの教示)が咲いています。

閑話休題、下山事件の恐ろしい真相が遂に明らかになりました。

1949年7月6日未明に下山定則国鉄初代総裁が列車轢死体となって発見された下山事件の大まかな構図、実行犯たちの手口などについては、『下山国鉄総裁謀殺論』(松本清張著、文春文庫『日本の黒い霧』所収)、『下山事件 最後の証言(完全版)』(柴田哲孝著、祥伝社文庫)、『下山事件 封印された記憶』(木田滋夫著、中央公論新社)によって、徐々にヴェールが剥がされてきました。

今回、手にした『下山事件 真相解明』(柴田哲孝著、PHPエディターズ・グループ)では、その恐ろしい真相が遂に明らかにされています。

●下山が殺されねばならなかったのはなぜか
国鉄の莫大な利権に群がる政財界有力者たちが、利権・汚職の流れを断ち切ろうとした下山に激怒し、恨みを募らせていたのである。すなわち、殺害理由は国鉄の大量人員整理とは全く無関係であり、黒幕は共産勢力でもGHQでもなかったのだ。

●下山を殺そうと企てた黒幕は誰か
「(下山を)殺して(線路で)バラバラにしてやる」と憤ったのは、右翼のX某であり、これに同調したのが、右翼のフィクサーZ某であり、その意を受けたY某が実行を指揮したと、著者は断定している。著者はX、Z、Yとしているが、Xは神中正一、Zは田中正明、Yは矢板玄を指していることが分かるようにヒントが示されている。彼らは、下山が誘拐された日本橋の三越本店からすぐ近くの日本橋室町3丁目のライカビルの「サロン」に集まる右翼系秘密結社の主要メンバーであった。著者・柴田哲孝の祖父・柴田宏も、この秘密結社の主要メンバーであった。

私が驚いたのは、下山事件と深い関係にあるとは知らずに、ライカビルの2階の英国式パブをよく利用していたことです。このビルは、私が長年、勤務した三共(現・第一三共)と同じ通りにあり、徒歩2分で行けたからです。ライカビルは2004年に再開発のため取り壊されました。

●吉田茂、佐藤栄作、白洲次郎、児玉誉士夫らは無関係か
黒幕らと親しい関係にあり、利害関係を共有していた吉田茂、佐藤栄作、白洲次郎、児玉誉士夫らは、下山が殺されることを予測していたはずだと、著者は推考している。秘密結社のメンバーであった白洲次郎がX某やZ某の怒りを収めようと懸命だったという証言がある。

正真正銘の驚愕の一冊です。