ルーシー・ブラックマン事件の犯人を粘り強く追い詰めた捜査陣の面々の執念の記録・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3770)】
【読書の森 2025年7月20日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3770)
シオカラトンボの雄(写真1)をカメラに収めました。ムクゲ(写真2~6)、グラジオラス(写真7)、ヤブカンゾウ(写真8)、ヘメロカリス(写真9~12)、ムラサキバレンギク(学名:エキナセア・プルプレア。写真13、14)、キバナエキナセア(学名:エキナセア・パラドクサ。写真15)が咲いています。キノコ(写真16、17)が生えています。
閑話休題、『刑事たちの挽歌――警視庁捜査一課「ルーシー事件」(増補改訂版)』(髙尾昌司著、文春文庫)を読み終えて、3つのことを感じました。
第1は、六本木でホステスをしていたイギリス人女性のルーシー・ジェーン・ブラックマン(21歳)失踪・死亡事件の犯人・織原城二に対する激しい憤りです。織原はクロロホルムなどの薬物で209人もの女性を昏睡状態にして、卑劣にも凌辱の限りを尽くし、ルーシーとオーストラリア人女性のカリタ・シモン・リジウェイ(21歳)を死に至らしめたのです。この裁判の対象とされたのは、ルーシーら10名の女性被害者です。
第2は、どこまでもしらを切り続ける織原を追い詰めるべく、粘り強く証拠を積み重ね、遂にルーシーの切断死体を発見するに至った捜査陣への感謝です。本書は、困難な状況を何とか乗り越えていく捜査陣の面々が実名で登場する臨場感豊かな捜査記録です。
第3は、他の女性たちに対する罪で織原を無期懲役としたが、ルーシーの件については直接的な証拠がなく無罪とした2007年4月の一審の東京地裁判決を破棄して、ルーシーに対する準強姦致死罪は認めなかったものの有罪とした2008年12月の二審の東京高裁の無期懲役という判決に拍手したい気持ちです。
最初のページから最終ページまで、自分も捜査陣の一員になったような気持ちで読み進めたので、精神的に疲れました。