榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

この日は朝から、日本全国のホテルで異変が起きていた。中国人宿泊客がホテルから消えたのだ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3862)】

【読書の森 2025年10月19日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3862)

リカソルノウゼン(別名:ピンクノウゼンカズラ。写真1、2)、セイタカアワダチソウ(写真3)、キバナコスモス(写真4、5)、タマスダレ(写真6)が咲いています。ホウキギ(別名:ホウキグサ、コキア。写真7、8)が紅葉しています。もぎったカキ(写真9)を隣家の女主が持ってきてくれました。我が家はキンモクセイ(写真10~13)の芳香に包まれています。

閑話休題、小説『チャイナ・インベイジョン――中国日本侵蝕』(柴田哲孝著、講談社)のストーリー展開には、思わず息を呑みました。

●午前10時45分――。日本政府に激震が疾った。――尖閣諸島周辺の海域と領空で、我が国の海上保安庁と航空自衛隊のF-15戦闘機が、中国の人民解放軍と武力衝突。双方に死者が出ている模様――。

●同日、同時刻、中国北京――。・・・朱洪平は周囲を見渡し、息を吸うと、徐に話しはじめた。「我が中華人民共和国の全国民と、全世界に告ぐ。本日、朝、我が中華人民共和国は日本による突然かつ無差別の軍事的攻撃を受けた。・・・よって中華人民共和国政府は、これを日本による我が国に対する『宣戦布告』とみなす。・・・本日、北京時間の午前10時ちょうどをもって、『中国人民共和国国防動員法』を発動した・・・」。

●日本と中国は、一気に戦争状態に突入した。

●中国で朱洪平が宣戦した直後から、日本全国に中国語の奇妙なラジオ放送が流れはじめた。<・・・中華人民共和国国防動員法を発令・・・これをもって日本国に滞在する中華人民強国の国民は・・・我が国の規定する憲法第55条の下に・・・国防義務を負うものとする――>。

●この日は朝から、日本全国のホテルで異変が起きていた。・・・彼ら(=中国人の宿泊客)は深夜から早朝にかけて、数人ずつがばらばらになってホテルを出ていた。・・・中国大使館の中に姿を消した。

●彼らは全員、2010年以降の中国人向けビザの発給要件の緩和でビザを取得できるようになった人民解放軍の兵士だった。ホテルを出た後は、次々と南麻布の中国大使館に集合。この3年間に、ウィーン条約で保障されている不可侵特権を悪用して準備された武器で武装し、待機していた。その後、国防動員法が発令されるのを待ち、数人ずつの小隊単位で私服のまま中国大使館から出動。

●ホテルから宿泊中の中国人観光客が「消える」という現象は、東京に限ったことではなかった。

●もちろん日本国内にいる中国人は、こうした団体旅行客に偽装した人民解放軍の兵士だけではなかった。すでにビザ発給要件の緩和以来、常時150万人近くの中国人が日本国内に居住、もしくは滞在していた。その約半数の数十万人が、国防動員法の発令に呼応し一斉に蜂起した。

●暴徒は各地で警察隊と衝突。だが日本の警察は私服を着た暴徒を一般市民と識別できず、混乱した。暴徒のほとんどは刃物や銃器などの武器を所持しており、暴動は市街戦へと発展。双方に死者が続出した。

●目の前の海岸に約30隻の揚陸艇やゴムボートが上陸し、迷彩服を着て自動小銃を構えた人民解放軍の兵士数百人が次々と上陸してきた。

●厚間(=即応予備自衛官三等陸曹)は、森の中を歩きながら思った。なぜ、こんなことになってしまったのか。もっと早く、未然に防ぐ方法はなかったのか――。

うーむ、これは悪夢だ!