榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

太宰治は、自身の『晩年』初版本に何を書き込んだのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(4006)】

【読書の森 2026年3月1日号】 情熱的読書人間のないしょ話(4006)

シロバナジンチョウゲ(写真1)が芳香を放っています。キノコ(写真2)が生えています。我が家の庭師(女房)から、ほんの数輪だけど、ユキヤナギ(写真5)が咲き始めたわよ、との報告あり。

閑話休題、『ビブリア古書堂の事件手帖(6)――栞子さんと巡るさだめ』(三上延著、メディアワークス文庫)では、太宰治の署名はないが、太宰直筆の奇妙な書き込みがあるという処女作品集『晩年』の初版本の謎に、並外れた古書の知識と洞察力を有するビブリア古書堂店主・篠川栞子が挑戦します。

栞子は、こう語っています。「今でも『晩年』の愛読者は多いです。わたしもそうですね。太宰の荒れた私生活は嫌いですけど、人としての弱さには共感できるんです・・・ちょっと、矛盾しているかもしれません」。栞子さん、それは矛盾そのものですよ!

文学に造詣の深い老人・小谷次郎が、こう発言しています。「苦悩する自分を戯画化して、小説の形で切り売りすることには長けていた。それは認めるが、学生のうちに接すれば十分じゃないかね。わしもそうだった。大人になってからは読み返す気も起こらん。若くしてあんな死に方をしなければ、とっくに顧みられなくなっているはずだ。いわゆる無頼派でも、坂口安吾や石川淳の方が優れた作家だろう。それに・・・」。この発言に、栞子は「わたしはそう思いません」と激しく反論しているが、白状すると、天の邪鬼の私は小谷に近い考え方をしています。

『晩年』などの古書に関する謎に止まらず、登場人物たちの人間関係も謎だらけです。そこで、自分で書いた相関図を見ながら、読み進めた次第です。