榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

習近平の頭の中が見えてきた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(4013)】

【読書の森 2026年3月7日号】 情熱的読書人間のないしょ話(4013)

サンシュユ(写真1~4)、ハナモモ(写真5~8)、ネコヤナギの雄花(写真9、10)、トサミズキ(写真11、12)が咲いています。ヒュウガミズキ(写真13)は開花寸前です。

閑話休題、4㎝の厚さがある『習近平研究――支配体制と指導者の実像』(鈴木隆著、東京大学出版会)には、習近平という人物を知るための材料がぎっしりと詰まっています。

個人的に、とりわけ気になるのは、習近平は台湾問題にどう対処しようとしているのか、台湾問題に日本はどう対応すべきか――ということです。

●「いつ、どのように」は不明だが、習近平が最高権力者の地位に居続ける限り、いずれかの時点で、領土と主権をめぐる現状変更のための軍事行動を起こす可能性が高い。地方指導者時代以来、歴史への思い入れが殊のほか強い習近平は、「屈辱の近代」に由来する歴史の不名誉と欠落感を満たすために、それらの歴史的清算の意義ももつ台湾統一の不朽の業績をもって、民族の正史にみずからの名を残すことを切望していると思われる。

●それでは、東アジア全域への危機ドミノも懸念される台湾でも紛争を起こさせないため、日本がとるべき対策とはなにか。①中国に対し、台湾、米国、日本、韓国、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピンなど、米国とその同盟ネットワークによるアジア太平洋地域での抑止力の強化(軍備強化)は、習近平の政治目標のうち、台湾統一よりも上位にある「中華民族の偉大な復興」の挫折リスクを高めるであろう。②習近平にとって最大の懸念と脅威は、次世代の中国を担う若者たちの共産党体制からの政治的離反、ひいては、和平演変やカラー革命の平和的体制転換の実現である。これに対し日本側は、中国の若者たちの日本を含む自由民主主義社会への包摂を、以前よりもさらに積極的に進めることが肝要である。例えば、中国人青年層の日本での就労就学の奨励とそのための各種支援の強化、ならびに、日本での居住資格の緩和と国内管理態勢の厳格化をセットとする法制度の整備などが挙げられる。その目的は、中国での就職難や将来不安に悩む多くの中国青年の活力を、人口減少と人手不足に悩む日本経済の持続可能な発展に役立ててもらうとともに、日本社会での実際の暮らしと現実的利益の獲得を通じて、中国当局のプロパガンダによって誘導された、日本を含む「西側」に対する彼・彼女らの脅威認識や先入観を軽減することにある。これは、共産党体制の中国と、日本など民主主義諸国のどちらがより多くの中国人青年の賛同を得られるかという、支持獲得の競争にほかならない。③台湾海峡危機の連鎖リスクに関し、沖縄の人々への安心供与の重要性も忘れてはならない。