榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

榎戸誠の情熱的読書術9カ条・・・【情熱の本箱(153)】

【ほんばこや 2016年9月7日号】 情熱の本箱(153)

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目次

1. いかに選ぶか
2. いかに入手するか
3. いつ読むのか
4. いかに読むか
5. いかに活用するか
6. なぜ書評を書くのか
7. いかに並べるか
8. 一番好きな場所は
9. 何を目指すのか

1. いかに選ぶか――「読みたい本リスト」は、いつもぎゅうぎゅう

私の「読みたい本リスト」の数ページは、書名、著者、訳者、出版社、価格、出版年、その本の紹介者などの書き込みで、いつもぎゅうぎゅうだ。1冊1行、1ページ当たり25行といったところである。

自分の好きなテーマ、すなわち、人物、歴史、政治、経済、哲学・思想、宗教、宇宙、生物、医学・薬学、企業、文学、国語、絵画など――については、常時、アンテナの感度を高め、興味を掻き立てられた本たちをリストに加えている。その他、読んだ本の中で推奨されている本や、参考文献として挙げられている本、新聞などの書評や広告で取り上げられている本、書店や図書館の新着コーナーに並べられている本の中で、興味を惹かれた本たち、著者から贈呈されて本、知人から送られたり薦められたりした本などが、リストに加わっていくのである。

2. いかに入手するか――大勢の本たちを借り出す、購う、立ち読みする

「読みたい本リスト」に書き込んだ大勢の本たちとの出会いを果たすために、特に急がない本は、自宅から近い2つの図書館で借りることにしている。週に何回も訪れて、書棚にない本はリクウェストし、常時、限度いっぱいの40冊を借り出している。どちらも、こぢんまりとした図書館で、交替で勤務している女性たちとは顔見知りなので、読書の情報交換などで楽しい一時を過ごすことができる、私にとって憩いの場所なのだ。

図書館で借りた本の中で、読後、これはずっと手許に置いておきたいと思う本は、改めて書店で購入する。これ以外に、急いで読む必要がある本も書店で買うため、私の小遣いの大部分は本代に消えていく。行きつけの書店は、自宅から近い紀伊國屋書店流山おおたかの森店だ。大型書店でも、どのコーナーに行けば目指す本が見つかるか勘が働くので苦にはならない。

なお、絶版や出版元品切れの本は、amazonで購入するようにしている。また、著作権が切れたため、インターネットの「青空文庫」に収録されている本は、無料の「青空文庫」を利用している。

自分が興味を持っている分野の新しい情報が載っているかを確認するための本、調べものをするときの本、丸々全部を読む必要のない本などは、書店で超スピードで立ち読みしてしまう。なぜか得した気分になるのは、私が小人物だからだろう。

3. いつ読むのか――我が家にやって来た本たちの読む順番を決める

「読みたい本リスト」の本たちが我が家にやって来たら、それこそ大騒ぎである。全ての本たちが口々に、「自分を先に読んでほしい!」と勝手な要求を突きつけてくるからだ。彼らの要求には耳を塞いで、読む順番を決めていく。難解な哲学の本の次は恋愛小説、その次は興味ある人物や歴史に関する本、その次は生物や進化の本、その次は企業物というように、似通った分野の本が重ならないように心がけている。

順番が決まったら、朝早くから夜遅くまで、だいたい1時間ぐらいずつ順番どおりに読んでいく。いわゆる「並行読書」である。そうは言っても、特定の本に夢中になって、気がついたら最後のページまで読んでしまっていたということも、しばしばだ。

企業人時代は、朝・晩の通勤時間が貴重な読書タイムとなっていた。鞄の中には、必ず2冊は入れていた。通勤途中で1冊を読み終わってしまった場合、次に読む本が手許にないと絶望的な気持ちに襲われるからである。大概の物はなくても我慢できるが、万一、本がない場所、本を読めない環境に置かれたら、私は狂い死にしてしまうことだろう。

4. いかに読むか――じっくり読むべき本以外は、付箋を活用して高速読書する

決めた読む順番に沿って、「並行読書」を進めていく。時間をかけて深く味わうべき作品はじっくりと味わいながら、その他の本は、かなりのスピードで読んでいく。いわゆる「速読術」の本や講習で、短期間のうちに速く本が読めるようになるとは思われない。読書の技術は、他の技術やスポーツと同様に、たくさんのさまざまな本を読むという蓄積があって初めて、速く、かつ深く読むことができるようになるのだ。

本と顔を合わせたら、先ず著者・訳者のプロファイルに目を通す。次に帯の惹句を読み、後書き、前書きと進んでいく。それから目次を眺め、本文に突入する。ここまでの段階で、著者が一番伝えたいこと、それがどの辺りに書かれているかを知ることができる。このように、その本の全体像を把握しておくと、読書のスピードが一段と加速する。

読みながら、これは未知の新しい情報・知識だな、この箇所は勉強になるな、この部分は引用しよう、この表現は真似できるな、この理解し難い項目は後で調べなくては、著者のこの主張は正しいか疑問だな――といった箇所に、常時携帯している付箋をどんどん貼っていく。100枚、200枚といった付箋で本が針鼠のようになってしまうこともしょっちゅうだ。付箋を使用することで、スピードを落とさずに読書することが可能になる。

5. いかに活用するか――一冊の本を骨までしゃぶり尽くす

本を読み終わったら、その本を骨までしゃぶり尽くす。先ず、読みながら付箋を付けた箇所の、未知の言葉や事項、理解し辛い専門的な内容は、インターネットや辞書、事典、専門書などで調べる。そして、その結果をファイロファクス(愛用のルースリーフ式手帳)の「榎戸誠の現代用語の基礎知識」のページに書き加える。著者の主張に納得がいかないときは、後日、図書館や大型書店で複数の専門書に当たる。次に、付箋を付けた未知の新しい情報・知識や、引用したい文章を、「抜き書きノート」に書き写す。学生時代からこの作業を続けてきたため、「抜き書きノート」は何十冊にもなっている。この表現は洒落ているな、そのうち真似しようと思った表現は、「表現ノート」に書き写しておく。巻末の参考文献の中で、これは読んでおいたほうがいいなと思った本は、「読みたい本リスト」のページに書き加える。

そして、最後に、「読書ノート」に、●学生時代から通しで付けている読了番号、●書名、●著者、●訳者、●出版社、●価格、●図書館で借りたのか、誰からか借りたのか、購入したのか、●発行年月日、その本が第何版なのかと、その発行年月日、読了年月日――を記載する。この「読書ノート」も学生時代からの習慣なので、相当の数になっている。

読んだ本が数十冊増えたら、暇を見つけて、「五十音別書名索引ノート」に書き加えるようにしている。書名の頭文字によって、索引ノートの五十音順のそれぞれのページに、読了番号と書名を記載する。過去に読んだ本を調べる必要が生じたとき、「五十音別書名索引ノート」で読了番号が分かると、何冊目の読書ノートのどこにその本の読書記録が記載されているかがすぐに判明するので、大変助かっている。

6. なぜ書評を書くのか――その本の魅力を伝えたくて、書評を書く

読んだ本たちの中で、この本の魅力を少しでも多くの人に伝えたいと強く感じたとき、私は書評を書き始める。私が書評を書くとき、心がけていることが3つある。第1は、けなすことをしない。というよりも、惚れ込んで、広く読まれるべきと確信した本の書評しか書かないということである。第2は、引用を恐れない。著者自身の生の言葉を伝えることで、その本の魅力を実感してもらいたいからである。引用することによって、内容の伝達に止まらず、その著者の語り口や持ち味を伝えることができると考えている。第3は、著者が言いたいことを要約する。この本を読んでほしいのはやまやまだが、いろいろな事情で読む時間がない人にも、著者が伝えたいことのポイントだけは知ってもらいたいと念じているからだ。

友人から、「書評を書くときの参考書を教えてほしい」と言われたときは、丸谷才一、百目鬼恭三郎、谷沢永一、向井敏、松岡正剛、呉智英、橋本五郎、米原万里、佐藤優らの書とともに、豊﨑由美の『ニッポンの書評』(光文社新書)を薦めることにしている。豊﨑が、こういうことを言っている。「わたしの考える書評は作品という大八車を後ろから押してやる『応援』の機能を果たすべきものです。自分が心の底から素晴らしいと思った本を、簡にして要を得た紹介と面白い読解によって、その本の存在をいまだ知らない読者へ手渡すことに書評の意味と意義があるんです」という姿勢に共感を覚えるからだ。豊﨑は、こういうことも言っている。「批評と書評はまったくの別物と考えているのです」、「粗筋紹介も立派な書評」、「情報も大事、作家・作品へのリスペクトも大事、でも、読み物としての面白みも、わたしは書評の重要な要素のひとつだと思うのです」、「読者の『読みたい』という気持ちを引き出せるか」、「書評には『その人にしか書けない』というものも存在するのです」といった考え方にも同感である。

7. いかに並べるか――取っておく本たちは、著者の五十音順に並べる

読み終わった本のうち、取っておく本たちは、書斎の書棚に著者の五十音順に並べる。書斎は、ドア以外の四面を本箱で囲まれている。文庫本の本箱、新書判の本箱、単行本の本棚、大型本の本棚のそれぞれに、著者の五十音順に並べている。この著者の五十音順というルールが一番本を探し易いというのが、長い試行錯誤の期間を経て到達した私の結論である。

取っておきたい本はどんどん増えていくのに、本箱には限りがあるため、已むを得ず、半年に1回、入れ替え戦を行っている。半年の間に床にうずたかく積み上げられた新しい仲間と、書棚に収まっている仲間との入れ替えだ。その基準は、残された私の人生で、もう一度読みたくなる本か否かというシンプルなもので、購入時に何万円もした本でもこのルールを免れることはできない。入れ替え戦で負けた本たちには、段ボールに詰められ、ブックオフに連行されるという悲しい運命が待ち受けているのだ。

8. 一番好きな場所は――四面を本たちに囲まれた書斎で癒やされる

私を取り囲んでいる書斎の本たちの背表紙を眺めていると、その本の内容だけでなく、その本を読んだ時の状況が生き生きと甦ってくる。そして、その本に刺激されて手にした本の背表紙に目が移る。さらに、その本と関係が深い本へと視線を動かしていくうちに、どうしても書棚から引っ張り出して読み返したくなる本にぶつかる。そうなると、もういけない。いつの間にか夢中で読み耽ってしまい、女房が食事の支度ができたと呼びに来るまで、時間の経過に気がつかないこともしばしばである。

古い本、新しい本を問わず、信頼できる友ともいうべき本たちに囲まれ、誰にも遠慮することなく彼らと心ゆくまで会話が交わせる場所、それが私の書斎なのだ。私の人生の最期は、この心安らぐ場所で迎えたいと念じている。

9. 何を目指すのか――森のような脳内図書館を目指す

森のような脳内図書館を作りたいという思いが形になったものが、私のブログ「榎戸誠の情熱的読書のすすめ」(http://enokidoblog.net/)である。

第1章  宇宙・進化・生物の不思議
第2章  歴史の再発見
第3章  探検への憧れ
第4章  女性という不可解な存在
第5章  愛は万華鏡のごとく
第6章  差別許すまじ
第7章  仕事にロマンを
第8章  人生とは何だろう
第9章  読書の喜び、思索する愉しみ
第10章 人生はドラマだ
第11章 文章の奥深さ
第12章 理想の暮らしを夢見て