榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

noblesse oblige(ノブレス・オブリージ)・・・【ことばのオアシス(31)】

【薬事日報 2010年4月14日号】 ことばのオアシス(31)

noblesse oblige(ノブレス・オブリージ)

noblesse obligeというのは、「高貴な身分に伴う義務(高い身分は義務を伴う)」、「優者の責務」を意味するフランス語である。

私がこの言葉に出会ったのは、当時のベストセラー『自由と規律』(池田潔著、岩波新書)の中であった。著者は、「オックスフォード、ケムブリッヂ両大学やパブリック・スクールの学生など、いわゆる、特権階級の子弟が率先して国難に馳せたこと・・・受けた特権に対して支払わるべき義務を自覚した、彼等の心構え」が「『ノブレス・オブリージ』の精神である」と記している。

普段は労働に従事せず、学問やスポーツに精を出しているが、いざ国家の危機となれば真っ先に前線で戦い、命を捨てるという重く潔い覚悟なのだ。