榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

大人だって、恐竜の最新情報を知りたい・・・【山椒読書論(349)】

【amazon 『大人のための「恐竜岳」』 カスタマーレビュー 2013年12月21日】 山椒読書論(349)

大人のための「恐竜学』(小林快次監修、土屋健著、祥伝社新書)は、嬉しいことに、文字どおり、大人のための恐竜の本である。

恐竜学の発展は日進月歩であり、最新の図鑑を見ると、かつてとは異なる姿が描かれていることに驚く。インターネットで募集した大人の恐竜に関する質問に、恐竜学の専門家が一問一答形式で答えている。

例えば、「そもそも『恐竜』って何?」という質問に対する答えは、こんな具合である。「『トリケラトプスと鳥類の最も近い祖先から生まれたすべて』 これが恐竜の学術的な定義です。なぜ、数ある恐竜の中でトリケラトプスだけがここに名前を挙げられているかといえば、トリケラトプスが最もよく知られた恐竜の代表格だからです。そして、このトリケラトプスに代表される恐竜を『鳥盤類』と呼びます。鳥盤類とは、鳥のものとよく似たタイプの骨盤(腰の骨)をもつ恐竜グループで、恐竜全体を二分するグループの一つです。鳥盤類と並ぶもう一つの恐竜グループは『竜盤類』です。こちらはトカゲとよく似た骨盤をもっています。竜盤類の代表的な恐竜といえば、『ティラノサウルス』を挙げることができます。しかし恐竜の定義には、ティラノサウルスの名前はありません。かわりにあるのは『鳥類』という言葉です。実は近年の研究によって、鳥類は恐竜の1グループであることが明らかになっています。鳥類は竜盤類に属し、その中で最も進化型といえます。つまり、トリケラトプスが鳥盤類の進化を代表する存在なら、鳥類は竜盤類の進化を代表する存在なのです。ここでいささかややこしいのは、鳥盤類という言葉には『鳥』という文字が入ってはいるものの、鳥類とは関係しないということです。つまるところ、恐竜という動物は、『鳥盤類』と呼ばれる動物たちと、『竜盤類(鳥類を含む)』と呼ばれる動物たちで構成されていることになります。『恐竜とは何か?』という問いに対して『簡単に』答えるのであれば、次のように言うことができます。『(恐竜とは)体の下に足がまっすぐのびた爬虫類』」。

「クビナガリュウや翼竜は恐竜じゃないって本当?」、「恐竜の祖先はどんな動物?」、「恐竜の色はどこまでわかっているの?」、「恐竜の鳴き声は再現できる? 映画の鳴き声は何にもとづいているの?」、「恐竜の寿命はどのくらい?」、「『<最強の恐竜>ティラノサウルス』についてもっと知りたい!」、「トリケラトプスとトロサウルスは同じ種、違う種?」、「どうしてブロントサウルスはいなくなったの?」といった興味深い質問と答えが並んでいる。

「最新の恐竜情報を知るにはどうすればいいの?」には、「恐竜の楽園」(http://www.dino-paradise.com/)、「恐竜パンテオン」(http://www.dino-pantheon.com/)、「日本古生物学会」(http://www.palaeo-japan.jp/)のサイトが挙げられている。