榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

言葉が足りない人間はサル以下のアホになるぞ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(351)】

【amazon 『言葉が足りないとサルになる』 カスタマーレビュー 2016年4月13日】 情熱的読書人間のないしょ話(351)

散策中に、ツバメを見つけました。首を傾げて何か物言いたげな木の切り株に出会いました。オウバイの黄色い花が滝のように咲いています。ソメイヨシノのごく小さな花筏が見つかりました。ハナカイドウの薄桃色の花は深窓の令嬢のような雰囲気を漂わせています。チューリップとシバザクラも頑張っています。ヤマブキが黄色い花をたくさんまとっています。因みに、本日の歩数は10,872でした。

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閑話休題、『言葉が足りないとサルになる――現代ニッポンと言語力』(岡田憲治著、亜紀書房)には、世を憂う過激な発言が満載ですが、はっきり言って、著者の主張に全面的に賛成です。

本書で著者が言いたいことは、3つにまとめることができます。第1は、最近の日本人は言葉が圧倒的に足りない危機的な状況に陥っている、第2は、最近の日本人は言葉は知っているが、言うべきことも言わずに飲み込んでしまう過剰に自制的な状況に陥っている、第3は、最近の日本人は言葉を使うとどれだけ素晴らしいことが起こるか、言葉を使わないとどれだけ宝の持ち腐れになるか、これらの重要性を認識していない――というのです。

第1の「言葉が足りない」ことについては、「みなさん! 他者にメッセージを送る際に256文字以内ですませるということ『だけ』をやり続けている人は、全員サル以下のアホになります。覚えておくように」と警報を発しています。

「バカなしゃべりをし続けるとバカになる」と断言しています。「幼児語(=未熟な言葉)ばかり使って生きている人間は人の言いなりの人生を歩むことになるのです」。

第2の「言葉が出ない」ことについては、「(絶対に必要なことは)『いくらなんでもひどすぎる』ことが起こったときには、あの真っ当な感覚に基づいて『そりゃいくらなんでもひどすぎやしないか』と、複数の人間が自分の利害を超えて正しい文句をつけてくれるはずだという信頼感が最低限共有されていることです。『それは間違ってるし、おかしいんじゃないですか』という不満や疑問が多くの人に共有されているときには、何かをきっかけに、『それは変ですよ』と勇気を持って言った人間を孤立させない、『最後の安心ネット』のようなものがあるのだという信頼感が共有されていること」と強調しています。

第3の「言葉がもたらすもの」については、「『気持ちにぴったりの言葉をあとから探して体裁を整える』というやり方を変えて、『とにかくまずはたくさん言葉を口走ってみると、不思議とできないと思い込んでいたことができていることに気づく』と考えること」を勧めています。

具体的には、「『豊かな内面を言葉にする』のではありません。『豊饒な言葉を使うことで豊かな内面と世界を作り上げる契機が与えられる』のです」。黙っていたら伝わらないぞ、無口は美徳なんかじゃないぞ、まず言葉を口にせよというのです。

「自己決定を支えるものは、『論理力』と『表現力』と『状況説明能力』であって、そのためには『自分の考えを言葉にする力』が決定的といっていいほど必要とされます」。踏み込んで言えば、「言語力そのもの」と「言語化する欲求」と「言語を通じてこそ強められる知的かつ快楽的な経験」が求められているというのです。「言葉なきところには自己決定は存在しません。ということは、言葉を用意していない人は『決定』ができないということ」と辛辣です。

言葉が全てだ、もっと言葉を――という訴えを、私たちに突きつけてくる刺激的な一冊です。