榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

池澤夏樹の知の仕事術が明かされている貴重な本・・・【情熱的読書人間のないしょ話(715)】

【amazon 『知の仕事術』 カスタマーレビュー 2017年4月3日】 情熱的読書人間のないしょ話(715)

CSOのイーピーメディカルを立ち上げた時、右腕として縦横無尽の働きをしてくれた吉井利臣の愛娘・吉井明子さんが、NHK・BS1の「キャッチ! 世界のトップニュース」(毎週、月~金曜の7:00~)の「World Weather」担当として登場しました。我が娘のことのように喜んでいます。散策中に、白い花が満開のユキヤナギ、赤い新葉を付けたレッドロビンを見かけました。我が家の庭の片隅ではサクラソウが明るい紫色の花を咲かせています。因みに、本日の歩数は10,143でした。

閑話休題、『知の仕事術』(池澤夏樹著、集英社・インターナショナル新書)で明かされている、生まれが私と同年の作家・池澤夏樹の仕事術には何度も頷いてしまいました。

池澤はなぜ本書を書いたのでしょうか。「この本はそういう世の流れに対する反抗である。反・反知性主義の勧めであり、あなたを知識人という少数派の側へ導くものだ」。生きるために必要な「情報」「知識」「思想」をいかにして獲得し、日々更新していくか、かつて学んで得た知識を、いかにアップ・トゥ・デイトしていくか――現代を知力で生きていくスキルを整理してみたというのです。

新聞について。「少なくともぼくの場合、紙の新聞は必須である。一面から政治欄を見て、社会欄を見て、文化欄を見て、という全体を通して、その新聞が作った世界の図を批判の姿勢で受け入れていく。この批判の姿勢という点が重要で、すべてをそのまま受け入れるのではなく、『それはちょっと違うぞ』と思いながら、いわば対話しながら読んでいくわけだ」。早速、頷いてしまいました。

新聞の書評欄について。著者が顧問を務めている「毎日新聞の書評は方針がはっきりしている。ぼくは社員ではないから『毎日新聞を読んでください』とは言わない。けれど(書評欄が載る)日曜日だけでもコンビニに行って買ってください。『140円でこの内容はお得ですよ』と言いたい」。この部分を読んで、早速、コンビニで日曜の毎日新聞と読売新聞を求めてきたのですが、長年読み続けてきた朝日新聞と日経新聞の書評欄とはかなり趣が異なることが分かりました。読むべき本の選択肢が広がるので、今後も日曜買いを続けることに決めました。

書評について。「一つの原稿をきちんと書き上げて送り終わったときほど幸福な時間というのはない。このときの充実感は中毒になる。これを何日かおきに繰り返しているだけの人生。原稿を送って、少し休んだら、また次の原稿を書き始める、それを書き終えるのを楽しみに」。著者は書評のプロ、私は素人という違いがありますが、この充実感は共通しています。

デジタルカメラについて。「いま取材時に必須なのがデジタルカメラ。ずっとキャノンを使っている」。私は取材ではありませんが、散策を初め外出時にはキャノンのデジカメを必ず携行しています。

パソコンについて。「自分の書いたものや撮ったものをパソコンに保存しておけること自体も、それができなかった時代に比べて、格段に生産性を上げたと思う。『あれについて何か書いたよな』というぼんやりとした記憶さえあれば、キーワードで検索して、原稿を探し当てることができる。おかげで、同じエピソードを何度も書かなくてすむようにもなった」。私も自分のこれまでの原稿をキーワードで検索できるようにしています。

スニーカーについて。「足元はほとんどスニーカーを履く。長時間歩くこともあるから、歩きやすい靴がいちばん」。1日10,000歩以上歩くことを目標としている私も、どこに行くにしても、ほとんどがスニーカーです。

完成原稿について。「自分が作ったものについては、最終完成品を手元に置くようにしている。小説であれ書評であれ、最終テキストを残す。紙ではなくデータの形でパソコンの中に置く。7、8年前からそうするようになった」。私も、ブログ「榎戸誠の情熱的読書のすすめ」に全ての完成原稿を収め、必要に応じて修正を施しています。

ファイリングについて。「いろいろ試した中でよかったのは、A4判の文書が入る普通の茶封筒を使うもの。型板を用意しておいて、封筒の同じ位置にタイトルを書き込む枠を作る(封筒は使用済みのものでいい)」。これは山根一眞が開発した袋ファイル・システムですが、私も数十年、この方式で全ての資料を整理しています。

ウィキペディアについて。「ウィキペディアも頻繁に使う。ウィキペディアは、使うこちら側のポリシーが決まっていれば、充分に役に立つ。・・・実際の話、小説は別として、もはやインターネットがつながっていない状況では文章を書けなくなった。細かいファクトの確認にインターネットを使う。宮沢賢治の生没年、あるいは『正法眼蔵』の成立年代、トルコ国民の中のクルド人の比率、ラジウムの原子量、ロベルト・ボラーニョの全作品のリスト。そういう細かなファクトについてはウィキペディアは役に立つ。しかし、もう少し大きな話題になると気をつけなければいけない。例えば、さる作家をどう評価するか。ウィキに書いてあることには偏見が交じっているかもしれないから、そのまま信用することはしない。・・・政治的な理由などで微妙と思われる項目を使うときは初めから用心する」。私のウィキペディア利用法と全く同じです。

電子書籍について。「ぼくの電子書籍の使いかたとしては、書評をする本を読むのには使わない。書評するときは書き込んだり、タグを貼ったり、それから前から後ろ、後ろから前へと、行きつ戻りつしながら何度も読みたい。しかし、電子書籍ではこの『前後』ができない。・・・だから、例えばエンターテインメント小説のように、冒頭から読み始めて、読み続けて、読み終わる類いのものなら、電子書籍でもいい。つまり一直線に一回読んでおしまいのものは、電子書籍でも読める。一方、行きつ戻りつしながら、中身全体を自分の頭に移す読書をするときはまるで役に立たない」。またまた、頷いてしまいました。私の書評の書き方と同じだからです。

引用句辞典について。「英語圏にあって日本にないのが『引用句辞典』というもの。先人の気の利いたせりふや名文句、至言名言が項目ごとに並べてあって、食事の席の話題にしたり自分の文章をちょっと飾ったりするときに使う。・・・皮肉、意地悪、悪趣味、ひとひねり、痛烈。英語が面倒ならば『叡智の断片』は文庫本になっている」。早速、池澤の著書『叡智の断片』(集英社文庫)を読むべき本リストに加えました。