榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

人不足が叫ばれる中、スタッフが辞めない店の店長が実行していること・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1085)】

【amazon 『店長のための「スタッフが辞めないお店」の作り方』 カスタマーレビュー 2018年4月12日】 情熱的読書人間のないしょ話(1085)

さまざまなサクラが咲き競っています。ギョイコウは薄緑色の花を、ウコンは薄黄色の花を、カスミザクラは一重の薄桃色の花を、フクロクジュは八重の薄桃色の花を、バイゴジジュズカケザクラは濃桃色の花を、サトザクラは桃色の花を咲かせています。因みに、本日の歩数は10,970でした。

閑話休題、近年、あちこちで人不足が叫ばれており、特に飲食店やコンビニなどでは、社員だけでなくアルバイトも充足できず、新規出店はおろか、既存店でも店休日を設けたり、24時間営業や深夜営業を中止するなどして、従業員の負担を減らそうとしています。どうして、こういう事態が生じているのか、こういう事態を解決する方法はないのか――という問題意識から、『店長のための「スタッフが辞めないお店」の作り方』(松下雅憲著、同人舘出版)を手にしました。

「本書では、このような『スタッフが辞めないお店』を作り上げている店長達が実際に行なっている『スキル(技術、やり方)』『システム(仕組み)』『スタンス(あり方、考え方)』の3つをご紹介しています。ただし、彼らは単に『やり方』だけとか『仕組み』だけで『スタッフが辞めないお店』を作り上げているわけではありません。常に、これら3つを組み合わせながら店づくりを進めています。この本を読みながら、彼らの『店づくりの秘訣』を、ぜひとも学んでいただきたいと思います」。

私は大手製薬企業を退職して、小さな会社の社長として新規事業を立ち上げた経験がありますが、本書を読んで、大きく頷いたアドヴァイスが3つあります。

第1は、「スタッフが辞めないお店の店長は『ワークスケジュール作成』にこだわっている」です。「ワークスケジュールの役割は、何もシフト組みだけではないのです。スタッフ不足に悩む店のワークスケジュールには、ただ10時から19時までがAさん、12時から20時までがBさん・・・というようにシフト時間と名前しか書いていません。少しレベルが上がると、その日の売上げ目標や前年実績が書かれています。もう少しレベルアップすると、客数や客単価の目標、時間帯ごとの売上目標なども書かれているでしょう。しかし、まだその程度では『スタッフが辞めないお店』のワークスケジュールとは言えません。ワークスケジュールは、もっと戦略的に活用しなければなりません。そこには、売上目標、キャンペーン目標だけではなく、スタッフの個人目標やチーム目標など、店全体だけではなくスタッフ個人の目標を細かく記載することが重要なのです」。ワークスケジュールには、売上目標とスタッフ成長目標を書き込むことを勧めているのです。

第2は、「スタッフが辞めないお店の店長がしている『話を聴く習慣』」です。「スタッフとのコミュニケーションは、忙しい店長にとって、ともすると仕事の邪魔のように感じることもあるでしょう。しかし、実はそれはまったく逆なのです。スタッフの話を聴く時間を増やせば増やすほど、スタッフたちのやる気は向上します。話して説明することも必要ですが、それ以上に話を聴く姿勢は、スタッフが辞めないお店づくりに不可欠な要素なのです」。聴く耳を持っている店長には、たくさんの大事な情報が集まってくるというのは、私も経験したことです。

第3は、「スタッフが辞めない『店長のスタッフプライベート把握力』」です。「スタッフが辞めないお店の店長は、スタッフのプライベート情報を、かなり細かく深いところまで把握しています。学業やクラブ、趣味、親兄弟のことや付き合っている彼や彼女のこと、さらに、女性スタッフの生理のサイクルまで把握している店長も少なくありません。これらは、かなりデリケートな個人情報ではありますが、店長が完璧に信頼できる対応をふだんからしていれば、スタッフは、このような個人情報をちゃんと教えてくれるものです。もちろん、口が軽かったり、個人の情報や事情についてからかったり、冗談や皮肉を言ったりしていると、誰も話してくれません。あたり前ですけどね」。店長として個人情報や事情などの秘密を100%守ることができれば、スタッフは必ず店長を信頼するでしょう。

人不足に悩んでいる飲食店やコンビニなどの店長だけでなく、他業種の管理責任者にもいろいろなヒントを与えてくれる一冊です。