榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

人間の残酷さを思い知らされる処刑の歴史の本・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1070)】

【amazon 『処刑の文化史』 カスタマーレビュー 2018年3月28日】 情熱的読書人間のないしょ話(1070)

私の散策コースでは、ソメイヨシノ(薄桃色)、ヨコハマヒザクラ(濃桃色)、オオシマザクラ(白色)、ヨウコウ(桃色)、イズヨシノ(白色)、コヒガン(薄桃色)、オオカンザクラ(桃色)、ヤエベニシダレ(薄桃色)といった、さまざまなサクラが咲き競っています。因みに、本日の歩数は10,349でした。

閑話休題、『処刑の文化史』(ジョナサン・J・ムーア著、森本美樹訳、ブックマン社)は、人間の残酷さを雄弁に物語っています。

古代ローマでは、「大勢のキリスト教徒がローマの円形闘技場で野生動物の餌食になった」。

「有史以来生み出された処刑のうち、間違いなく最も恐ろしい処刑方法だ。『首吊り、内臓えぐり、最後に八つ裂き』は極悪な大逆罪に与えられた刑罰だ。イギリスで生まれたこの処刑は1816年まで成文法とされなかった。この処刑は並外れた技術を要した。囚人の首は吊るがとどめを刺してはならず、一度意識を回復させたうえで今度は腹を裂いて内臓をえぐる。えぐり出された内臓や切り取られた性器を目の前で焼かれる一連の手順を目にさせるため、生かしておかなければならないのだ」。「死刑囚の遺体は、バラバラに切り裂かれたうえで、見せしめのため朽ち果てるまで絞首台にさらされた」。

アケメネス朝の「ペルシャ人は全身串刺しではなく、オイルを塗った串を、囚人の体を立てておくのにちょうどいい深さまで肛門や膣にさしこむ方法を好んだ」。

「この19世紀の版画は、チュニジアの串刺し刑を描いている。囚人は壁に設置された鉄の鉤に(体を貫かれて)吊り下げられる」。

「中世社会では女性の自由は限られていた。夫に口答えすることは禁止されており、これを破る者は『鉄のくつわ』をかけられた」。

「『魔女審査』トムプキンス・ハリソン・マッテソン作(の絵画)。魔女狩り人たちは、(裸にした女の体の)ただのシミや汚れを『悪魔の刻印』に仕立て上げた」。

「14世紀から17世紀にかけて、ヨーロッパ中で何万人もの魔女が火あぶりにされた」。「ヨーロッパでは、魔女の火あぶり刑が行われると、そのお祭り気分が一連の法手続きに付加価値をもたらした。学校は休みになり、子供たちは罪人がまだ水分が残る新鮮な薪の上でゆっくり焼かれていくのを見に行き、学校では得られない社会学習をした。16世紀、スイスのヌーシャテル州では、火あぶりの儀式は静かな鐘の音で始まり、魔女たちは鐘の音の響くなか、ヘクセントゥルムから町の広場にある要塞まで行進した。魔女は集まってきた一般市民や名士たちの前に跪き、自分の犯した恐ろしい罪をもう一度ここで自白しなければならない。もしもこの場で、与えられる刑罰の正当性を認めなければ、さらなる拷問が待っていた。哀れな魔女が火あぶりにされるために処刑執行人に引き渡される前に、地元の司祭が説教を施しにやってくる。その後、酒席がもたれ、市長や裁判所の職員らは罪人の財産で用意されたたっぷりの食事で原を満たす」。

「生きたまま皮を剥がされると、人間は失血かショックで死亡する。生皮剥ぎは、顔から、もしくは足から順にゆっくりと皮膚を剥いでいく。被害者を逆さにしておくと失血量を抑えることができ、より長い時間生かしておけることになる。処置を楽にするため、事前に熱湯か熟した油をかけて皮膚を火傷させた」。