鳥について、まだまだ知らないことが多いと思い知らされた私・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3061)】
昨日の昆虫観察会の続き――。ホソハリカメムシあるいはヒメハリカメムシの幼虫と思われる個体(写真1)、キタテハ(写真2)、ミンミンゼミの雄の死骸(写真3)、アミガサハゴロモを捕らえたジョロウグモの雌(写真4)をカメラに収めました。コムラサキ(写真5、6)が実を付けています。ゴンズイの赤い実と黒い種のコントラストが目を惹きます(写真7、8)。
閑話休題、『鳥を読む――文化鳥類学のススメ』(細川博昭著、春秋社)で、とりわけ興味深いのは、●スズメとイエスズメ、●ヒバリ、●ハクチョウ――の3つです。
●スズメとイエスズメ
日本に生息しているのはスズメ、ヨーロッパで目にするのはイエスズメです。「両者はユーラシアの広い範囲に生息していて、その分布はかなりの部分で重なっている。・・・分布が重なる土地では、どちらか一方が人間の近くに住み、もう一方が林や山に住むが、ほとんどの場合、イエスズメが人のそばにいる」。
「まれに飛来はするものの、イエスズメは日本ではまだ繁殖の例がほとんどない。そうした状況もあって、スズメの天下が続いている。一方で、日本にはもう一種のスズメ、ニュウナイスズメがいた。・・・ニュウナイスズメは基本的に山や林の鳥で、スズメがいない一部地域を除いて、人間のまわりを住居としていない。この鳥たちにも棲み分けが見える。イギリスをはじめとするヨーロッパには、スズメもイエスズメも暮らしている。だが、人間の家のまわりにいるのはイエスズメのほうだ。・・・日本で見るスズメはどこにいるのかといえば、山や林の中となる。・・・ひとつだけ明確な『決まり』が存在する。『人間のそばで暮らすのは一種のみ』という決まりである」。
●ヒバリ
「ヒバリは春になると空高く飛んでさえずる。これにも、もちろん理由がある。飛ぶのはオス。上空でさえずるのは、同種のオスに対するナワバリの宣言であり、メスに対しては『こんなによいナワバリをもっていますよ』というアピールとなる」。
「ヒバリは発声器官の鳴管が発達していて、気嚢と気道を使った共鳴の効果によって、トリルの効いた声を大きく響かせることができる。また、息を吐いているときだけでなく、吸っているときもふくめて、途切れることなく鳴管を鳴らし続けることができる。そうした身体的な特徴により、飛びつつも長くさえずりを続けることができるようになっている。また、長く、リズミカルにさえずりを続けられるのが『優れたオス』の証であり、より高速な飛翔ができ、より高く昇り、より長くさえずるオスをメスが選んできたことが、ヒバリを今のヒバリにしたともいえる」。
●ハクチョウ
「日本に飛来するのはオオハクチョウとコハクチョウ。ヨーロッパでは、コブハクチョウとオオハクチョウ。ヨーロッパの一部の土地には、コハクチョウもわずかに飛来した。北アメリカではナキハクチョウとコハクチョウ」。
「『黒いハクチョウなどいるはずがない』というのが古くからのヨーロッパの通念であり、『黒いハクチョウを探すことなど無意味』と考えられていた。そこから、『無駄な努力』を意味するものとして、『黒いハクチョウを探すようなもの』ということわざが生まれた。・・・だが1697年、オーストラリアで黒い羽毛のハクチョウ属、コクチョウが発見される。黒いハクチョウ=コクチョウは、すぐさま、ヨーロッパ人の知るところとなった。ありえないはずのブラックスワンが実在したことで、このことわざは無意味になり、死語となる」。