榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

加計学園問題の真実が暴かれる日・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1240)】

【amazon 『悪だくみ』 カスタマーレビュー 2018年9月17日】 情熱的読書人間のないしょ話(1240)

我が家の庭の片隅でシロバナマンジュシャゲが咲き始めました。ガの一種のホシホウジャクがハチドリのようにホヴァリングしながら、口吻を長く伸ばしてハナトラノオ(カクトラノオ)の蜜を吸っています。家の中に入ってきた小さいクモは、殺したり負い出したりしないでください。人間には無害で、小バエやダニなどを獲物にしているミスジハエトリというクモだからです。この個体は雌です。因みに、本日の歩数は10,244でした。

閑話休題、『悪だくみ――「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』(森功著、文藝春秋)は、加計問題の全体像を理解するのに最適な一冊です。

「(安倍晋三は)友人を依怙贔屓して特別扱いしているのではないか」、「どんなときでも心がつながっていると安倍が自ら公言した『腹心の友』は、安倍にどのような影響を与えてきたのか。なにより半世紀以上もなかった獣医学部の開設を目論んだ加計(孝太郎)に対し、安倍は何をしてきたのか」という疑問を解明すべく、取材・調査を重ねていきます。

「愛媛県今治市に計画された岡山理科大学獣医学部は、開校の条件がすこぶるいい。市が造成した約37億円相当のキャンパス用地を無償で譲り受け、施設整備費用192億円のうち、市は愛媛県と合わせて96億円を助成すると約束してきた。・・・加計学園の獣医学部新設は、誰にでも開かれた道ではない。まるで加計学園だけのために規制緩和のルールが敷かれ、それに乗ってことが進んできたかのようだ」。

本書の一番の読みどころは、安倍の思いを受けて加計学園に大きな力を貸した2人の政治家を浮き上がらせていることです。「下村(博文)は、森(喜朗)と対峙しながらも第二次(安倍)政権発足から2年10カ月の在任期間、文科大臣として強権を振るってきた。加計孝太郎にとっては、この上なく好都合な大臣だったといえるだろう」。「獣医学部新設の提案を構造改革特区から国家戦略特区へ切り替える。(安倍)首相や(下村)文科大臣が同席しているところでその打ち合わせができれば、ことが一挙に進む。そのための官邸訪問ではなかったのだろうか。下村は下村で、大臣就任以来、赤坂の料亭で加計と会って陳情を受け、政治資金パーティでも加計学園にずい分負担をかけている。そしてこの加計の官邸訪問から2カ月後の6月4日、今治市は予定どおり構造改革特区から国家戦略特区に提案の申請をやり直した」。

閣僚退陣に追い込まれた下村に代わり、文科省のパイプ役を担ったのは、文科省OBの豊田三郎でした。

「さらに下村から馳(浩)に大臣が代わるこの時期、官邸と加計をつなぐ強力なパイプ役がいた。下村とともに安倍四天王と目されてきた萩生田光一である。ここから萩生田が官邸副長官として、国家戦略特区の獣医学部新設にかかわるようになる。加計学園の加計孝太郎にとって、構造改革特区から国家戦略特区への獣医学部新設提案の変更は、萩生田にバトンタッチする前のいわば文科大臣下村博文の置き土産ともいえた。・・・そうして加計学園の獣医学部新設は、それまでの構造改革特区からこの国家戦略特区制度の下で、『国際水準の獣医学教育特区』として仕切り直した。と同時に腹心の友である安倍は、国家戦略特区諮問会議の議長として、獣医学部の新設に関して心強い見解を披露してきた。鳥インフルエンザ感染症対策の高度な獣医養成は必要だろう、と耳当たりのいい話をし、担当大臣である山本(幸三)や内閣府の官僚たちは、さしたる明確な根拠も示さず、加計学園を擁する今治市の計画が四条件をクリアーしたと主張してきたのである」。

「加計学園に対する首相の依怙贔屓ではないか――。『総理のご意向文書』によって、関係者のあいだで燻ってきたそんな疑念の輪郭が、くっきりと浮きあがった」。

本書が強く訴求したいことは、この一節に凝縮しています。「今治市の獣医学部キャンパスには、192億円という巨大な資金が投じられ、その半分が血税で賄われている。加計学園問題の本質は、忖度政治ではない。教育の自由化や特区という新たな行政システムを利用した権力の私物化、安倍をとりまく人間たちの政治とカネにまつわる疑惑である」。

どんなに強力に見える権力も永久に栄え続けるわけではありません。歴史を見れば、権力の栄枯盛衰は必至です。安倍政権が終わった後、国民の多くが望んでいる、加計問題の真実が暴かれる日もそう遠いことではないでしょう。