榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

『人間の本性』を読んで、何度も頷いてしまいました・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1560)】

【amazon 『人間の本性』 カスタマーレビュー 2019年7月26日】 情熱的読書人間のないしょ話(1560)

千葉・柏の旧𠮷田家住宅の敷地内で開催中のメダカ展を見学しました。落合啓次氏が飼育しているメダカの20品種――楊貴妃ダルマメダカ、楊貴妃半ダルマ、黒・青ダルマメダカ、青幹之(鉄仮面)、ダイヤモンドヒカリ、黄金スーパーヒカリ、透明鱗ヒカリ、琥珀ラメ、オレンジラメ、黒ラメ、星河、赤透明鱗、百式、三色、二色、魔王改、スーパーブラック、紅茜、東天光、琥珀――が展示されています。因みに、本日の歩数は10,941でした。

閑話休題、『人間の本性』(丹羽宇一郎著、幻冬舎新書)を読んで、何度も頷いてしまいました。

●油断をすると、人間のなかに潜む「動物の血」が騒ぎ始めます。怒り、憎しみ、暴力的な衝動を内包する「動物の血」が人間には流れていることを忘れてはいけません。皆さんは、こんな経験はないでしょうか。歳を重ねても誰かを妬んだり恨んだりと自己中心的な他人を見て落胆しつつ、同様に成長していない自分を見て愕然とする――。本書では、そんな掴みどころのない「人間の本性」というものを、さまざまな断面から考察し、そんな人間といかに付き合い、生きるべきかを私の体験談も交えながら綴ってみようと思います。

●人生の本当の勝ち負けは、仕事でうまくいくとか、お金持ちになるとかなどの物指しだけではかれるものではありません。それはおそらく人生最後の心安らかな安堵の一息に象徴されることだと思います。死ぬ間際に、家族に感謝して「ありがとう」の一言を残し、「俺の人生は幸せだった。人を傷つけることもなかった。裏切ることもしなかった」――そう清々しく思えるなら、その人こそ最高の人生を送ったといえるのではないでしょうか。

●年を取ろうとも、好奇心を失わず、謙虚な姿勢でいれば、すべてのものは「師」になります。子どもと遊んでいても彼らの素直な感性から学ぶものはたくさんありますし、ちょっと苦手な人と出会っても、反面教師的に学ぶ切り口はたくさんあります。加えてこの世界のことをいろいろ教えてくれる本は読み切れないほどある。・・・ですから本当は(長く)生きるほど得るものが増えていくはずなのです。まさに年を取る暇もないほど増えていく。年を取るたびに「増える」のか「失うか」は、まさに考え方次第、努力次第だと思います。

●あなたなら今日が最後の一日なら何をしますか。私ならやはり、ふだんと変わらぬ一日を望むと思います。最後だからといって、いままでしたことがない貴重で珍しい体験をしたいということはない。いつもと同じように早朝に起きて、近くの公園を散歩し、軽く朝ご飯をすませ、仕事をしていなければ、好きな本を選んで読む。ときどき休憩をしてお茶をゆっくり飲んだり、ボーッとしたりする。そんなふうにして一日を終えるのではないかと思います。・・・「最後の一日をどう過ごすか」、つまり「最後」を意識して、自分の人生を見つめてみるのはいいことだと思います。そうすれば切実に「今」という時間を見つめることができます。それによって何気なく過ごしている「今」の大切さを、心から感じることができるはずです。

●われわれの目は、つい表面的なものにとらわれがちです。仕事や生活がうまくいっている人を見れば運がいいと判じ、仕事で挫折したり、病気などの不幸に襲われた人を見ると不運だと感じることがあります。もちろん、病気などの医療の分野では、本人にとっては不可抗力ともいえる偶然の不運といったものもあります。しかし、経済の分野において世間で目にする多くの不運といったものは、煎じつめれば本人の努力不足に起因するものが少なくありません。・・・つまり、多くの面で私たちが運、不運といっているもののおおよその本質は、ちゃんとした努力がそこにあるかないかということです。

●「禍福は糾える縄のごとし」とはよくいったもので、一時不運に思えることはどこかで幸運につながっていったりするものです。その逆ももちろんあるものですが、貧乏くじを引いたなと感じたときは、そのような心持ちで事に対処していけば、どこかで好転する。最後の瞬間まで勝負は続くのです。

●「いつも全力で仕事をされているように見えますが、疲れて休みたいというときはないのですか」。仕事関係の人から、そんなことをいわれることがあります。しかし、いつも全力でやっているように見えるというのは有り難い誤解です。当然ながら力を抜くときだって、ときにはあります。常に全力でやるなんてことは、そもそも生身の人間にできることではありません。どれほど体力があろうと、エネルギッシュな行動力があろうと、どこかで気を抜かないと絶対に続きません。・・・緩急を上手につけながら、仕事はすべきものだと思います。すべてどんなものにも全力を出してやれば、そのうち息切れをしてしまいます。手抜きというと語感はよくないですが、いい意味での手抜きは絶対に必要なのです。