私の本たちとの付き合い方(その4)――じっくり読むべき本以外は、付箋を活用して高速読書する・・・【情熱的読書人間のないしょ話(6)】
イーピーエスの「日本伝統芸能クラブ」の仲間である田代さんに入場券の購入手続きを手伝ってもらい、生まれて初めての文楽公演を、国立劇場の前から7列目中央という好位置で楽しんできました。田代さんは若いにも拘わらず歌舞伎、文楽などに造詣が深く、彼女の指摘どおり、「近頃河原の達引」は歌舞伎との濃厚な関係を感じさせる演目でした。もう一つの「七福神宝の入舩」は、宝船に乗り込んだ七福神がそれぞれの得意の芸を披露する、ユーモアたっぷりの和風ミュージカルという趣でした。女房も私もすっかり文楽ファンになってしまいました。
閑話休題、決めた読む順番に沿って、「並行読書」を進めていきます。時間をかけて深く味わうべき作品はじっくりと味わいながら、その他の本は、かなりのスピードで読んでいきます。ここで、時折、質問を受ける「速読術」について触れておきましょう。いわゆる「速読術」の本や講習で、短期間のうちに速く本が読めるようになるとは思われません。読書の技術は、他の技術やスポーツと同様に、たくさんのさまざまな本を読むという蓄積があって初めて、速く、かつ深く読むことができるようになるのです。
本と顔を合わせたら、先ず著者・訳者のプロファイルに目を通します。次に帯の惹句を読み、後書き、前書きと進んでいきます。それから目次を眺め、本文に突入します。ここまでの段階で、著者が一番伝えたいこと、それがどの辺りに書かれているかを知ることができます。このように、その本の全体像を把握しておくと、読書のスピードが一段と加速します。
読みながら、これは未知の新しい情報・知識だな、この箇所は勉強になるな、この部分は引用しよう、この表現は真似できるな、この理解し難い項目は後で調べなくては、著者のこの主張は正しいか疑問だな――といった箇所に、常時、携帯している付箋をどんどん貼っていきます。100枚、200枚といった付箋で本が針鼠のようになってしまうこともしょっちゅうです。付箋を使用することで、スピードを落とさずに読書することが可能になります。ぜひ、お試しあれ。