世界の山々の魅力が眼前に迫ってくる写真集・・・【山椒読書論(471)】
登山という趣味を持たない私にも、『絶景山――WORLD’S BEAUTIFUL MOUNTAINS』(ピーピーエス通信社・ゲッティイメージズジャパン・アマナイメージズ写真、森山晋平編集・文、パイ インターナショナル)は楽しめた。
ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニア、南極の49座の鮮明なカラー写真に短いコメントが添えられている。
ヴァイスホルン(スイス、4505m)の雪に覆われた鋭角の山容には圧倒される。「スイスの空を貫く角――天を突き刺すような山頂。雪に覆われた美しく力強い山肌。3つの尾根を持つこの山からは、マッターホルンも一望できる。山名はドイツ語で『白い角』を意味する」。
ユングフラウ(スイス、4158m)へのユングフラウ鉄道の「最高所の駅、最大級の氷河」は「ヨーロッパ一髙い場所にある駅、ユングフラウヨッホ(3454m)。駅の上にあるスフィンクス展望台から一望できるアルプス山脈最大の氷河、アレッチ氷河は、『スイスアルプス ユングフラウ‐アレッチ』としてアイガー、メンヒ、ユングフラウとともに世界遺産に登録されている」と記されている。私も、この展望台から眼前に360°広がる雄大な氷河を眺め、実際に氷河を歩いてみた時の感動をまざまざと思い出す。
ロライマ山(ガイアナ・ブラジル・ベネズエラ、2810m)は、コナン・ドイルのSF小説『ロスト・ワールド』の舞台となったことで知られているが、「南米のテーブル――『陸の孤島』ギアナ高地には地球最古の岩盤が残り、100を超えるテーブルマウンテンがある。そのひとつ、ロライマ山は他のテーブルマウンテン同様、山頂が平たく、隔離された断崖絶壁の中でパイナップル科の原始植物、食虫植物など珍しい生物が生息する」。
麓から見上げたナンガ・パルバット(パキスタン、8126m)の陽に輝く神々しさ、白頭山(北朝鮮・中国、744m)の頂上の最大水深384m、周囲18kmを超える大きな天然湖の神秘性も心に残る。