榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

届け先の分からない手紙を預かってくれる漂流郵便局・・・【情熱的読書人間のないしょ話(56)】

【amazon 『漂流郵便局』 カスタマーレビュー 2015年4月18日】 情熱的読書人間のないしょ話(56)

昨日は、ブログ「榎戸誠の情熱的読書のすすめ」で『シングルマザーの貧困』の書評を読んだというシングルマザーの方から、「常に貧困の恐怖と隣り合わせの仕事最優先の生活を送っていますが、娘の成長を楽しみに頑張ります」というメッセージを頂戴し、ジーンときてしまいました。本日は、懇意のドクターを東京新宿メディカルセンター(旧・東京厚生病院)に訪ねたところ、玄関周りで多彩なキリシマツツジが咲き競っていました。因みに、本日の歩数は14,290でした。

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閑話休題、『漂流郵便局――届け先のわからない手紙、預かります』(久保田沙耶著、小学館)という不思議な本に出会いました。

「いつかのどこかのだれか宛 届け先のわからない そんな手紙を受け付ける たったひとつの郵便局です」。

「漂流郵便局(旧粟島郵便局)は、瀬戸内海に浮かぶ小さなスクリュー形の島、粟島のおへその部分にあります」。

この漂流郵便局に寄せられた直筆の手紙や葉書がたくさん掲載されています。「おとうさんとおかあさんのだいじなだいじなあなたへ このてがみは、あなたにちゃんと、とどきましたか? ・・・(ほいくえんで)たくさんのこどもたちをそだててきましたが、あなたのおかあさんになるのは、はじめてです。おとうさんとであってから、おかあさんは、あなたにあいたくて、あいたくてしかたありませんでした。・・・きっといろんなことが、あなたのじんせいあるかもしれませんが、だいじょうぶ。どんなときも、おとうさんとおかあさんはあなたのみかたです。わたしを、おかあさんにしてくれてありがとう」。 

「夕暮れの街で逢った見知らぬおじ様 今、平成14年ですが45年前に姫路の街で私はおじ様とすれちがいました。今は天国におられるかも知れませんが『きれいな顔しとるなあ』と言ってふり向いて下さいましたね。あの時は私は21才好きな人をあきらめて、他に嫁ぐための用意をし、失意の底にいました。泣き出さんばかりの表情で日を送っている時でしたが、今は幸福に暮していますが、あの日の光景は一日も忘れた事はありませんでした。・・・うれしかったですよ」。

「こいびとへ あなたのことを思うだけで胸が張り裂けそうです。みたいな言葉はまだ早すぎるのかもしれない。これから出会うのか今そばにいるのかいつかどこかですれ違ったのか、わたしの永遠のこいびと! でもわたしはもうすでに全身全霊の愛をあなたに注いでいます。きっとあなたもわたしをたくさん愛してくれるのだろう」。

「浩太君へ 良い知らせを聞かせましょう。漂流郵便局さんのおかげで君にはがきを書くことができるようになりました。今までおとうさんは君になんども語りかけてきました。・・・君と別れてから19年がたちました。生きていてくれたら君は30歳になっているんだよ。・・・おとうさんは11歳の君の姿しかしらないんだから。一枚のはがきって本当に少ししか思いを書くことができません。でも君にはがきが届くようになったので、これからは何度でも思いを送ります」。

私も、漂流郵便局宛ての手紙を書きたくなりました。