写真家の庭で里山の四季を味わい尽くそう・・・【情熱的読書人間のないしょ話(86)】
毎日10,000歩以上を目標に歩いているせいか、ウォーキング・シューズがパックリと口を開けてしまいました。そこで、今日から新しい靴に替えたのですが、これが軽く履き心地がいいので、これまで以上に毎日の歩数が伸びそうです。散策中にあちこちでカシワバアジサイを見かけました。白い花(正しくは萼)が円錐状に集まって咲くのと、葉がカシワの葉に似ているのが特徴です。因みに、本日の歩数は14,186でした。
閑話休題、『今森光彦の心地いい里山暮らし12か月――写真家のアトリエ「オーレリアンの庭」から』(今森光彦著、世界文化社)は、里山好きには堪らない一冊です。
著者のアトリエの庭とその周辺の里山の四季の素晴らしさが、美しい写真と味のある文章で紹介されています。
例えば、6月のページは、「太陽の光が強くなると、夏の花が咲き始める。木立をぬうようにチョウが舞い、甘い香りに酔いながらハチが羽音を響かせる。深い緑に包まれた庭は、生命の小宇宙だ」と始まります。そして、「水辺をつくる」というエッセイ、「オーレリアンの生き物図鑑<植物編>」、「オーレリアンの生き物図鑑<虫・動物編>」、「里山の庭づくり」、「里山を取り入れる」、「里山を味わう」と続きます。もちろん、いずれにも著者の手になるカラー写真が添えられています。
「クチベニマイマイ――カタツムリの仲間で、一番ふつうに見られる種類。雨の日に、ヤマブドウの葉をゆっくりと散歩している姿を見かける。・・・暮らしぶりをつぶさに観察してみたい生きもののひとつだ」。私が子供の頃は、梅雨に入るとアジサイの葉にカタツムリがたくさんいたものですが、昨今はとんと見かけなくなってしまい、寂しい思いをしています。
「完成した(ため)池に、ギンヤンマ、ヤブヤンマ、カトリヤンマなどの大型のトンボが飛来すると胸がわくわくする」。昆虫好きの私には羨ましい限りです。
「里山を取り入れる」の「夏の風――ヤマユリ」は、こんなふうです。「ヤマユリは、芳香を放つ優雅なユリだ。園芸品種とは違って、野生の美しさをもっている。・・・咲いた花は、お皿に水を浸して飾り付ける。大輪なのでとても見ごたえがある。部屋に持ち込むと、夏の風がいっしょに入ってくるようで嬉しい」。
一年中、楽しめる美しい大型本です。