榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

昭和の雰囲気を漂わせている下町の商店、民家、銭湯などのイラスト集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(864)】

【amazon 『下町の名建築さんぽ』 カスタマーレビュー 2017年8月29日】 情熱的読書人間のないしょ話(864)

散策中に、観賞用のトウガラシを見かけました。観賞用トウガラシは、実のさまざまな形や色を楽しむもので、食べることはできません。一方、小さな白い花を咲かせているメキシカンチリペッパーは、観賞するだけでなく、実を食べることも可能ですが、激辛なので要注意だそうです。因みに、本日の歩数は10,577でした。

閑話休題、イラスト集『下町の名建築さんぽ』(大島健二文・絵、エクスナレッジ)の著者にとっての下町は、このようなものです。「路地裏があって、道には植木鉢がはみだし、洗濯物が干してあって、古いたてものの中から人々の生活感が街ににじみ出し、人情味あふれる小さな個人商店がまだがんばり、そして猫がのんびりと昼寝をしているような昭和の面影を残した街」。

取り上げられている商店街、商店、民家、駅、橋などは、いずれも昭和の雰囲気を漂わせていて郷愁を誘いますが、とりわけ、「御蔵前書房(浅草橋)――相撲の街の過去を伝える昭和の書店」に心惹かれました。「おしゃれな街として進化しはじめたここは蔵前エリア。幅員26mをほこる国道6号線(江戸通り)に面して、今にも崩れそうな木造の書店、そのギャップにしびれる人は多い。何故か緑色に着色されている簓子と下見板張り」。古書が店頭から溢れ出さんばかりに並べられています。こういう本屋なら、何時間でも過ごせそうです。

「入谷の民家(入谷)――進化・増殖する下町の『メタボリズム』建築」は、昭和そのものといった感じの、トタンを多用した長屋風の建物です。「元は3戸の割長屋だったのであろうか。2階に物干し台のある真ん中の部分が本来の姿だったのかもしれない。しかしあとの2軒は陽光を求めて上へ上へと成長し晴れて3階に物干し台を確保することに成功した」。

「はん亭(谷根千)――木造3階建ては、由緒正しき大正建築の証」は、宮崎駿の『千と千尋の神隠し』に登場してもおかしくないような堂々たる建物です。「歴史ある温泉街の旅館のような木造3階建て瓦葺きのたてもの。大正8年築、つまり震災で木造3階建てが禁止される前の貴重な文化財。もとは爪皮屋(下駄の雨よけカバー)の店舗として建てられ、その後現在の串揚げ屋として改修され現在に至る。百年建築、たてもの自体の価値を残しながらのリノベーション。古い建物の利活用の好例といえる」。重厚感のある二重の庇、出桁造、すだれ、大矢来(軒下の防護柵)が風情を醸しています。

「大黒湯(北千住)――銭湯の域をはるかに超えた宮型造り」は、「入母屋屋根に大きな千鳥破風、妻壁には木連格子、次に切妻破風、そしてとどめに唐破風・・・宮型造りの銭湯は、東京にまだいくつか残っているが、昭和4年築のこの造りはすごい」と説明されています。私が子供の頃は、東京・荻窪の我が家の近くに何軒かの宮型造りの銭湯があったことを懐かしく思い出してしまいました。