榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

明治神宮の森は、何と生物たちの生命溢れる森だった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(110)】

【amazon 『生命の森 明治神宮』 カスタマーレビュー 2015年7月5日】 情熱的読書人間のないしょ話(110)

散策中に、盛夏の花というイメージのある真っ赤なカンナを見かけました。この強烈な赤色は人によって好悪が分かれるようですが、私はこの花に燃えるような情熱を感じます。これとは対照的なのが、薄いピンクの可憐な花を咲かすヒルザキツキミソウです。栽培植物が逸出野生化したものですが、近年、あちこちの道端で見かけるようになりました。

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閑話休題、写真集『生命の森 明治神宮』(伊藤弥寿彦執筆、佐藤岳彦写真、講談社)には、馴染み深い明治神宮について、私にとって新たな発見がありました。

「オシドリたちが彩る冬の北池 如月(2月)」の写真は、オシドリたちの美しさに圧倒されました。

「エノキの葉上で光り輝くヤマトタマムシは真夏の宝石 葉月(8月)」の写真には、ヤマトタマムシの光り輝く光沢を再認識させられました。

「静寂に包まれた雪の日の北参道 如月(2月)」は、幻想的です。

「冬の朝、ハシブトガラスに遅いかかったオオタカの幼鳥 如月(2月)」は、迫力満点です。

「トゲアリ 葉月(8月)」は、初めて見るトゲアリの姿と生態にびっくりしました。「東京23区では極めて珍しい昆虫。トゲアリの女王はクロオオアリなど、他の種類のアリの巣に侵入し、相手の女王を殺して働きアリに自分の世話をさせ、最終的に巣を乗っ取ってしまうという不思議な生態を持つ。近年都心部で見つかった巣は明治神宮のひとつだけである」。

「アオオサムシの体から生えたオサムシタケ 水無月(6月)」は、衝撃的です。「いわゆる冬虫夏草の一種で、オサムシに寄生する」。

「キクイムシ(甲虫)の幼虫による食べ跡 文月(7月)」は、何とも芸術的です。「倒木の表にしるされた地上絵のような不思議な模様」。

「水滴に打たれ胞子を噴出するホコリタケ 神無月(10月)」は、忍術の一場面のような光景です。

「100年前、ここは森のない荒れ野だった。人の手によって木が植えられた前代未聞の実験林ともいえる明治神宮の森は今、私たちに多くの示唆を与えてくれる。・・・『人工』と『自然』という、相反するはずのものが融合した不思議な世界。循環と永遠を生みだす『人工の自然』の森。それが明治神宮の森だ」。