今上天皇と美智子皇后が心から願っていること・・・【情熱的読書人間のないしょ話(149)】
散策中に、水辺の高木の枝に止まり、何時間もじっとしているアオサギに出会いました(通りかかった行きも帰りも、同じ場所にいました)。日本で繁殖するサギ類の中で最大で、全長は1m近く、翼を広げると2m近くになります。時折、上空を悠然と飛んでいるのを目にします。少し先では、テレビ・アンテナに止まり、美声で囀っているホオジロを見つけました。
閑話休題、『戦争をしない国――明仁天皇メッセージ』(矢部宏治文、須田慎太郎写真、小学館)には、いろいろと考えさせられてしまいました。
「払われた多くの尊い犠牲は、一時(いっとき)の行為や言葉によってあがなえるものでなく、人々が長い年月をかけてこれを記憶し、一人一人、深い内省の中にあって、この地に心を寄せ続けていくことをおいて考えられません」。
「東日本大震災からは四度目の冬になり、放射能汚染により、かつて住んだ土地に戻れずにいる人々や仮設住宅で厳しい冬を過ごす人々もいまだ多いことも案じられます」。
「この両国の関係の永きにわたる歴史において、我が国が中国国民に対し多大の苦難を与えた不幸な一時期がありました。これは私の深く悲しみとするところであります」。
「両国の永く密接な交流のあいだには、我が国が朝鮮半島の人々に多大の苦難を与えた一時期がありました。私は先年、このことにつき私の深い悲しみの気持ちを表明いたしましたが、今も変わらぬ気持ちを抱いております」。
「本年は終戦から70年という節目の年に当たります」。「この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」。
「この戦争による日本人の犠牲者は約310万人と言われています。前途に様々な夢を持って生きていた多くの人々が。若くして命を失ったことを思うと、本当に痛ましい限りです。戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました」。
「沖縄の問題は、日米両国政府の間で十分に話し合われ、沖縄県民の幸せに配慮した解決の道が開かれていくことを願っております」。
美智子皇后の言葉。「だれもが弱い自分というものを恥ずかしく思いながら、それでも絶望しないで生きている」。
美智子皇后の歌。「初夏(はつなつ)の光の中に苗木植うるこの子供らに戦あらすな」。
2015年8月15日、全国戦没者追悼式で、天皇がなぜ、「さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い・・・」と述べられたかは、本書を読めば明らかです。