笑いながらマナーが学べる本・・・【情熱的読書人間のないしょ話(217)】
散策中に、微笑ましい恋人たちの石像に出会いました。葉を落としたハナミズキの赤い実が日を浴びて宝石のように輝いています。今日も、小さなキクをあちこちで見かけました。ハロウィーンが終わったと思ったら、もうクリスマス・ツリーの登場です。因みに、本日の歩数は13,812でした。
閑話休題、33年ぶりに読み返した『ドタンバのマナー』(サトウサンペイ著、新潮文庫。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)の内容は、全然古びていませんでした。
漫画家のサトウサンペイが、新社会人向けにイラストと短いコメントで解説したマナー集で、笑いながらマナーが学べる仕掛けになっています。「会社人間、最低限のマナー」、「外国人のいるような場所でのマナー」、「ほってもおけない浮世のマナー」、「よそさま訪問のマナー」、「西洋人による日本人の洋食マナー」、「育ちがわかる和食のマナー(付 中華料理)」、「おデート、最低限のマナー」の各章で構成されています。
例えば、「ちょっとした仕草が人格を下げる」は、こう解説されています。「どんな状態にあれ、人前で耳打ちをすることの出来る人物は、人の心が推し量れない人間である。女性で口に手を当てて笑うのは、英国ではそしり笑いととられるし、フランスでは情交関係のサインととられるそうで、外国人もふえた今日、十分気をつける必要がある。人前での化粧やブラッシングは、美人製造工程を見せるわけで、効果的でない。外国でやると売春婦と思われる」と、コメントもイラストも痛烈です。
「外国人の前でズボンをずり上げると嫌われる」では、「特に女性の前では禁物。仕立てが悪いのか、ウエストの体型によるものか、私もよくやるが、日本男性の大半はイスから立つとき、必ずヨイショとずりあげる。私は何度か西洋のオバサンにいやな顔をされた。いろいろ考えたが、理由はさだかでない」と、述懐しています。私もこの癖があるので、気をつけねば。
「ビュッフェは原則として時計まわり」では、「西洋でもちょっと乱れてきたように思えるが(日本人観光客のせいか?)、本来は時計回り。冷たいものから温かいものへととってゆくと、ぶつからない」と、アドヴァイスしています。
「外国では着たままアイサツ」は、こう説明されています。「(日本ではコートを脱いでアイサツするが)外国では反対。脱いで入ることは長居することを意味する。だから、コロンボ刑事みたいに着たまま入り、むこうが『どうぞお脱ぎになって』というまで着ていなければならない」。
「食事中、イスの脊にもたれない」では、「イスに背もたれがあるので、私たちはすぐにもたれるが、西洋人は食事中はもたれない。小さいころから、しつけられているせいもあるが、もたれたのでは食べにくい」と、注意を促しています。
「イスは左から座るのが西洋風」のコメントは、「西洋人は何百年もイスの脊を右手でひいて、左から座る。そのほうが楽だからである」となっています。