佐高信の歯に衣着せぬ反対陣営滅多斬り・・・【情熱的読書人間のないしょ話(182)】
散策中に、カラスウリの鮮やかな赤い実が目につきました。まだ緑色で白い縦縞があるもの、緑色から赤色に変わりつつあるものもあります。この野道は150mに亘ってカラスウリがいろいろな植物に絡みついています。薄紫色のミツバアケビの実を見上げていたところ、その家の女性から、どうぞもぎってお持ちくださいと言われ、女房は大喜びでした。因みに、本日の歩数は11,538でした。
閑話休題、『安倍晋三と翼賛文化人20人斬り――新・佐高信の政経外科』(佐高信著、河出書房新社)では、安倍晋三とその賛同者たち――櫻井よしこ、百田尚樹、やしきたかじん、ビートたけしなど20人が滅多斬りにされています。
庖丁を振るう佐高と、まな板に載せられた人たちのどちらに理があるか、読む人によって意見は分かれるでしょうが、この著者らしい歯に衣着せぬ発言のオン・パレードです。
私にとって興味深かったのは、田中角栄の憲法に関する発言です。「そんな田中だから、どこぞのボンボン首相と違って、1971年に、『ル・モンド』の極東総局長、ロベール・ギラン相手に次のように明確な護憲論を開陳したのだろう。『現行の日本国憲法はすでに25年間定着している。新憲法の成立過程というのは、占領下のことでもあり、必ずしも理想的なものではなかったと思うが、この憲法は日本人に消化され、ずっと守られてきた。こんご、ある時期に改正されることがあったとしても、戦争放棄をうたっている九条が改正されることはない。それは原爆の洗礼を受けたという理由による。第三次世界大戦があれば、それは原水爆戦争となり、35億の人類の死滅を意味するという認識に立って日本は国際紛争は軍事力で解決しないという考えを貫く』」。
読売新聞に対しては、「アンタッチャブルのワンマンの下で働いている『読売』の記者たちは、自然に権力批判に鈍感になるのだろう。内の権力者を批判できない記者に外の権力者を批判することは不可能である。それが生命線とも言える権力批判を欠いた新聞を新聞と呼ぶことはできない」と、痛烈です。
城山三郎に対する弔辞の中で、著者はこう述べたと語っています。「城山さんのことは私が一番よく知っているなどと独占するつもりはもちろんありませんが、城山さんを語る時、勲章拒否と現行憲法擁護の二点だけははずしてほしくないと思います。城山さんは『戦争で得たものは憲法だけだ』と口癖のように言っていました。まさに城山さんの遺言というべきでしょう」。
佐藤優については、「じっくり佐藤と対談して、宗教を足場にした佐藤の人物鑑定眼、そして世界を読む力の深さと重さに驚嘆した」と、評価しています。
佐高を好きな人だけでなく、嫌いな人にも読んでもらいたい一冊です。