榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

やりたいことを仕事にし、やりたいように進めるという生き方の勧め・・・【情熱的読書人間のないしょ話(237)】

【amazon 『逆転の仕事論』 カスタマーレビュー 2015年11月26日】 情熱的読書人間のないしょ話(237)

我が書斎をレッサーパンダが歩き回っています。もちろん本物ではなく、尾まで入れると37cmほどの縫いぐるみです。天邪鬼の私は、人気者のジャイアントパンダよりレッサーパンダのほうが好きなのです。

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閑話休題、『逆転の仕事論――あえて、レールから外れる』(堀江貴文著、双葉社)は、賛成しかねる発言も多いという意味で、刺激的な本です。私などから見ると、本書に登場する8人の同類に見える堀江貴文でさえ、このように語っているのですから、当然と言えば当然でしょう。「私自身、本書のノイベーターたちの話を読んでみて、学ぶところは多かった。武田双雲さんの無敵性、佐渡島庸平さんの柔軟性、増田セバスチャンさんのオリジナリティ、ロンドンブーツ淳さんの面白いものへの貪欲さ、HIKAKINさんのスピード感、小田吉男さんのアイディアの引き出し力、小橋賢児さんの豊かな人脈、岡田斗司夫さんの孤高ぶり、――同意できない部分も一部にはあったが、今後の私の仕事において、貴重で参考となる意見をもらえた」。

堀江のいう「イノベーター」は、「数字や指標の達成のために仕事をしているわけではない。仕事は、ただシンプルに、やりたいことをやるためにあるものだ。何をやるか、何のためにやるか全部自分で決める。空気を読まず、常識に囚われず、思いのままに仕事をする。たとえ失敗しても、何度でも挑戦する」と、説明されています。

「あえて、レールから外れる」仕事のやり方を貫いている8人のイノベーターたちの発言に、堀江が「ココがポイント!」、「思考法を解説」、「まとめ」を付しているので、堀江は著者というより編者といった役割を担っています。

私自身が刺激を受けたのは、「会社から出て初めて見える世界がある――佐渡島庸平」の思考法です。「●絶対に信頼できるものを仕事の核にする→熱狂し続けられるモノ・コトを見つける。●組織を離れないと風の動きは分からない→世の中の動きが分からないと変化の波に取り残される。●起業すれば人間関係の協力の仕方が変わる→肩書ではなく、自分の名前で仕事が作れる。●新しい土地の未知の果実をいかにして食べるか→トライアル&エラーをひたすら繰り返し、正解に近づく。●毎日、全行動を『決定』する→自らの行動、思考すべてに意識的になる。●お金は目の前を流れている川→お金はやりたいことを実現する道具と認識する」。

「ルールのキワッキワにしか面白さはない――田村淳」の思考法にも興味を惹かれました。「●ワクワク感がすべての基準→『何が起こるか分からない』を大切にする。●ルールのギリギリはどこまで?と問いかける→許されるギリギリのところにこそ面白いものがある。●失敗することで蓄えられる財産がある→思い切った実験をしないと面白いものは生まれない。●おかしいものはおかしいと言い続ける→ルールや常識に縛られない。●スポンサーに、君がやるなら何も注文つけないと言われたい→自分の名前で仕事を作り、お金を動かす」。

「より早く、より柔軟に、より愚直に――HIKAKIN」の思考法も勉強になりました。「●環境が整っていないなら自分で工夫する→トライ・改善を繰り返す。●早く始めることの重要性→市場が開拓される前にいち早く参入する。●部屋に来た友だちを楽しませる感性→質を追求する準備期間は短縮し、とにかくやってみる。●自分だけの世界にこだわらない→新しいことに手を出し続ける。●決めた通りにやり続けること→サボらず、愚直に続けることが信頼を高める。●ベストなものをベストの状態で世に出す→ネットならではの強みを最大限生かす。●取って代わるメディアが現れたら迷わずそっちへ行く→好奇心を大切にし、時代の波をつかむ」。

愛人80人リスト問題で騒がれた岡田斗司夫の「自らの生き方そのものでリスクを負い、常識や道徳を書き換える」思考とその実践には、本当にびっくりしました。「いま僕には交際している女性が8人います。過去には最大で80人の女性と、同時に付き合っていました。僕はとっくに離婚している独身です。たくさんの女性と同時に恋愛関係を結ぶのが、いったいなぜ問題なのでしょうか? 僕は究極のところ夫婦、ひいては家族を、会社にしたいと考えています。会社は、社員が入ったり辞めたりできますよね。家族も同様に、出入り自由にしたらいいんです。第1段階で考えているのは、いまいる8人の彼女と僕が『ひとつの家族』を運用すること。彼女たちはそれぞれ、子どもは外部で旦那を見つけて、作ってくれて構いません。その旦那や子どもたちも全部まとめて、『岡田斗司夫の家族』の一部と考えます。この家族から出ていくのも、戻ってくるのも自由です。何にしても、古典的な家族観はもう崩れ出しています。会社のように社員が入社したり退社したり、移転もある未来型の家族作り」。