江戸時代の庶民になって街をぶらつく気分が味わえる本・・・【情熱的読書人間のないしょ話(283)】
【amazon 『江戸府内 絵本風俗往来』 カスタマーレビュー 2016年1月24日】
情熱的読書人間のないしょ話(283)
散策中に、ドウダンツツジが赤い蕾をたくさん付けているのを見つけました。ドウダンツツジから、寒くとも頑張れよと励まされているような気がしました。切り離された両腕が宙に浮いているのかと思ったら、切り倒された庭木の太い枝が金網に挟まっているのでした(笑)。2つの図書館にも寄ったため、本日の歩数は14,514でした。
閑話休題、『江戸府内 絵本風俗往来(新装版)』(菊池貴一郎著、青蛙房)は、江戸末期の市井の好事家が、江戸の八百八街で自ら見たものを絵に描き、文を添えたものです。明治38年に発行されたものが昭和40年に復刻され、今回、その新装版として出版されたのですが、明治38年時の体裁がそっくり生かされています。
菊池貴一郎の300枚以上の絵は、歌川広重らの芸術的な浮世絵とは異なり、生々しい臨場感に満ちています。おかげで、自分も江戸時代の庶民の一人になったような錯覚に囚われてしまいました。
例えば、6月の部の「朝顔売」「医師の往来」「山王祭」「盆提灯売」「孩子(こども)遊びの煙火(はなび)」「からくり」「蟀々(きりぎりす)売」などは、当時の祭りなどの賑わいを彷彿とさせます。
11月の部の「火事」は、迫力満点です。
1月の「初風呂」は、正月気分が漂っています。
働く人たちを扱った部の「夜鷹」(よたか=辻君<つじぎみ>=夜、路傍で客を引いた私娼)は、ユーモラスに描かれています。
江戸時代にタイム・トラヴェルできる素敵な魔法の一冊です。